『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“デジタルメンタルヘルスへの投資が重度な病気にシフト”
デジタルヘルスへの投資は、2021年は好調であったが、今年はこれまでところ減速気味となっている。メンタルヘルスやビヘービアルヘルス(行動改善)分野のスタートアップらはCOVID-19のパンデミックをきっかけとして投資家たちから多くの資金を集めたが、彼らもまた下方修正を免れない。
パンデミック期間中はバーチャルメンタルヘルスのツール関連で大きな売上急増が見られ、さまざまなスタートアップらが不安・うつ・ストレスなどの気力や感覚の低下状態に的を絞っていた。
「今や行動強迫性障害や摂食障害などのより重症な精神疾患を治療するデジタルヘルス企業たちの時代となっているのかもしれない」とOMERS Venturesの主要投資家で医療テクノロジーの指導的立場にあるChrissy Farr氏が「Going Digital: Behavioral Health Tech 2022」のパネルディスカッションで発言した。
7wireVenturesのパートナーであるAlyssaJaffee氏は、多くのプレーヤーは、バーチャルメンタルヘルスの構築が簡単だったため、多くの知見が備わっていなくとも始めることができたと述べた。ただ、対象者の人口にはさまざまなニーズがあり、プロバイダーが不足している可能性があるため、スタートアップがより深刻な状況に拡大するのは難しい場合がある。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2022年6月10日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
米国ではCOVID-19のパンデミックにより、今までとは違う様々な健康課題が浮き彫りになったため、その課題にアプローチする企業が注目され、多くの投資が集まりました。
テレヘルス(遠隔診療)の急激な普及もCOVID-19によるロックダウンが要因と言えるでしょう。多くのテレヘルス企業は売上を大幅に増加させました。
またCOVID-19をきっかけに参入が増えたのがデジタルを活用した予防領域です。COVID-19による生活変化による心の不安解消を、自宅にいながらも解消できるバーチャルメンタルヘルスやビヘービアルヘルス(行動改善)を手掛けるスタートアップが増加しました。
しかし、COVID-19も収束に向かっていることからも、ニーズは移行しています。
COVID-19による課題解決は一種のブームです。ブームは過ぎ去るものなので、次の波に乗っていかなければ取り残されてしまいます。
当記事の内容からも、軽度のメンタルから、より重度なメンタルへのアプローチが求められています。今度はより専門的知識、経験が求められることになります。対応するためにはそれなりに時間もかかってしまうと、ビジネスが成り立たなくなってしまうこともあります。
別のニュースとして取り上げた『Teladoc Health、「投資家を惑わした」とする集団訴訟に直面』(公開後リンク設定)では、COVID-19により売上を倍増させたテレヘルス大手のTeladoc Healthが、売上予測を下方修正し、事前に情報を開示しなかったことで、投資家から提訴されているとのことでした。
私はTeladoc Healthもすべてが読み切れるわけではないので、売上予測を下方修正することはあるだろうと思います。
ただTeladoc Healthの場合、COVID-19によるテレヘルスムーブメントが落ち着くことも予測し、訪問してきた患者の改善支援まで提供するためにヘルスコーチングで定評あるLivongo Healthを買収しました。このアプローチが他のテレヘルス企業が減収する中で、次なる強固な基盤を作ることに貢献するのではないかと思います。
よくも悪くもブームは過ぎ去ります。特にいきなりやってきたブームは過ぎ去るスピードも早いので、ブームに乗ったときこそ、次の準備が欠かせないものとなります。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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