『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“「自己組織化マップ」をAIで生成”
米マサチューセッツ総合病院(MGH)の研究チームは、AIを用いた心理学的ウェルビーイングの調査により、「長期的な人生の満足度」を向上させるためのフレームワークを開発した。ウェルビーイング向上に向けたパーソナライズされた道筋は、メンタルヘルスに対する医学的介入への活用だけでなく、自己啓発支援のための一般向けアプリケーション化の可能性が示されている。
これまでの長寿研究により、心理学的ウェルビーイングが身体の健康、楽観主義、前向きな健康行動、早期死亡のリスク低下、などと有意に関連することが明らかにされている。Agingから公表された研究論文によると、MGHの研究チームは心理学的質問調査の結果に基づき、ディープニューラルネットワークモデルによって、人が最もうつになりやすい心理構成を特定した上で、危険なメンタル状態からの離脱を助けるアルゴリズムを構築した。「自己組織化マップ」としてまとめられる本研究成果は、ウェルビーイングとうつ傾向の評価によって、ウェルビーイングを最大化するための行動的・心理的な最短経路を示すことができる。
記事原文はこちら(『The Medical AI Times』2022年6月30日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
先に記載させていただきますが、上記の原稿で「well-being」を「幸福」と訳されているところを記事の元原稿を読んだ上で、あえて「ウェルビーイング」と変えさせてただきました。
と言いますのが、この記事以外の翻訳でも、well-beingは「幸福」と訳されることが多いので、おそらく本記事を書かれた方もわかりやすくするために「幸福」とされているのだと思います。致し方なしです。
現在、国際標準化でウェルビーイングに関する議論では、well-being=「幸福」とするのではなく、身体的、精神的、社会的に満たされた状態を表すものとして「幸福」も一要素であると捉えています。
無理にwell-beingを訳そうとすると英語ではhappyやhappinessとしなければならなくなります。ですのでwell-beingを日本語にするときは「ウェルビーイング」としておいた方が誤解が生まれにくくなります。
少し前段が長くなりましたが(半分本題でもあり)、ウェルビーイングの評価が各国で進んでいます。
上記で、ウェルビーイングとは「身体的、精神的、社会的に満たされた状態を表すもの」とお伝えしました。3つの要素(コンディション)が絡み合い、どれか1つだけ満たされていればよいと言うことではないことがわかります。
また、対象者の状態も人それぞれです。体力的に充実した状態でも、金銭的トラブルにより精神的にはマイナスな状態の人もいます。その逆もあるでしょう。
今回の研究では「心理学的ウェルビーイング」つまり精神的状態が他の要素(コンディション)にどのような影響を与えているかを評価しています。
このように、ウェルビーイングを何か一言に翻訳してから再分解(精神的〇〇など)するより、身体的、精神的、社会的と言った3つの要素(コンディション)が最初からあるものと捉えた方が、他国の研究結果も理解がしやすくなります。
今後もウェルビーイングがテーマになってくることが増えると思います。国際標準化会議で活用されてるウェルビーイングの捉え方、ぜひ押さえておいてください。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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