『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“心臓ケアのスタートアップ企業が、バーチャルリハビリサービスのために2,000万ドルを獲得”
高リスクの心臓疾患患者を対象としたバーチャル在宅介入プログラム『Moving Analytics(Movn)』は、市場で「最も臨床的に検証された」心臓疾患リハビリテーションプログラムであると謳っている。オンラインベースのプログラムは他にも存在するが、それらはHeart2Heartのように他の国際市場を対象としているか、Henry Ford Healthのように現時点で非常に限られた保険会社にのみ対応しているものだ。
共にMoving Analytics社の創業者であり大学時代からの友人同士であるHarsh Vathsangam氏とShuo Qiao氏は、3人目の共同創業者となるAde Adesanya氏に南カリフォルニア大学で出会った。3人ともエンジニアになることを夢見て米国に移住したが、すぐに目標は「ヘルスケアに貢献できるデータ駆動型のアプローチ」を作ることに変わった。
アーバインを拠点とするMoving Analyticsは、心臓発作や心臓疾患からの回復期にある患者に、ガイド付きサポートによる12週間コースの在宅ケアという選択肢を提供することを目指している。
「このプログラムの重要な部分は…こんな風に患者に心を寄せることだ。『これはあなたの身に起こった中でも大きな出来事だと思いますが、世界の終わりではありませんし、私たちのガイドに従っていただければ、本当に心臓を強くするためにできることはたくさんあります』」とAdesanya氏はコメントする。
各患者には、モバイル対応の体重計、米国心臓協会の情報冊子、エクササイズバンド、Bodytraceの血圧計、Garminのフィットネストラッカーを提供し、コース期間中の進捗を計測・記録してもらう。
同社はヘルスケア提供企業として、様々な保険会社(Kaiser Permanente、Allegheny Health Network、CDPHPなど)と契約しており、現時点で14州の約4,000人の患者を対象に事業を展開している。心臓疾患患者が在宅ケアを選択した場合、Movnのチームに紹介される。
米国では心臓疾患は死因の第1位であり、約25%を占める。心臓疾患リハビリテーションの対象となる患者のうち、プログラムに登録するのは20%以下だ。
提供されたデータによると、いくつかの提携保険会社においてプログラム登録率と完了率が上昇していると主張している。例えばKaiserPermanenteでは、完了率が以前は14%だったのが現在では88%となっていることをデータは示している。他の提携保険会社でも同様の数字が示されている。
同社はプログラムの料金を教えてくれなかったが、従来の対面式セッションに代わる「より安い」選択肢を提供するとしている。国立医学図書館に掲載された研究によると、対面式セッションの平均料金は約240ドルだ。
記事原文はこちら(『TechCrunch』2022年7月9日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
糖尿病、高血圧など生活習慣由来の疾病の改善には、投薬と合わせ生活習慣改善が望まれます。
以前は医師から「生活習慣を改めましょう」「正しい生活習慣はこれです。やりましょう」などの正しい指導はありましたが、言われたからと、そう簡単に改善できないのが痛みを伴いにくい生活習慣病です。
特に改善したいと思える痛みも感じていないのに、辛い正しい生活習慣は簡単には取り入れることができませんでした。
そこで、より効果を出しやすくするために、専門職による対面指導が行われるようになりましたが、専門職に1to1で指導を受けるとなると、費用がかさむことになり、誰でもが受けられるものではありませんでした。
そのようなコストを削減するために、ICT、オンラインの活用が注目されてきましたが、単純にデータの見える化だけや、人がやっていることをシステムに置き換えただけでは、患者の継続モチベーションに繋がらず、継続率は下がってしまうのが実態でした。
それがここ数年で状況が変わってきました。
ICTと人的サポートのハイブリッド型のサポートが市場に多く導入されるようになりました。人が関わることで継続モチベーションしやすくするコミュニケーションが提供できるようになったのです。
この動きは他の疾患にも広がっています。今回紹介する心疾患は、まさに本丸と呼ばれる領域です。
なぜなら米国の死亡原因のトップは100年に渡り心疾患です。この心疾患改善にデジタルヘルスが貢献できることは、とても大きな成果です。
Moving Analyticsはまだ若い会社です。しかしポイントを押さえることで、達成率の高いプログラムを提供することができています。
ただウェアラブルデバイスを組み合わせて、データの見える化をするだけでは、多くの人は継続的な改善行動はできません。どうやったら継続するか?ここで勝負できるサービスが今後も市場で伸びていくことになります。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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