『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“NUSの新センター、「AIによる眼検診」の展開”
シンガポール国立大学ヨンローリン医学部はこのほど、地域密着密着型の先端眼科医療を推進する新センターを設立した。「Centre for Innovation and Precision Eye Health」と呼ばれる新しいセンターは、AIと集団データを活用し、シンガポールで急速に進行する高齢化に対応しようとするもの。
シンガポールは2022年時点で、65歳以上高齢者が人口の18%だが、2012年の11%から急速に増加しており、今後10年間で、高齢者が人口の1/4を占めるようになることが見込まれる。このような現実を踏まえ、眼疾患を含む慢性疾患の罹患率上昇に対して、地域レベルでの有効な予防医療の展開に国策として力を入れている。現在、シンガポール国内で眼疾患の早期発見が可能なのは高機能な専門機関に限られており、この背景には診断用眼科機器が高価で、廉価で有効なスクリーニング機器と手段が普及していないことも一因となる。
記事原文はこちら(『The Medical AI Times』2023年3月30日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
高齢社会は今後世界的に課題なのはご存知と思います。
Global Note(統計データ配信サイト)で掲載されている現状最新(2021年)の65際以上人口比率(高齢化率)ランキング上位は
1位 モナコ 35.97%
2位 日本 29.79%
3位 イタリア 23.68%
4位 フィンランド 22.89%
5位 ポルトガル 22.56%
日本がダントツの1位かと思いましたが、モナコの方が多いとの結果でした。とは言え、アジア圏では日本がトップです。
今回ニュースで取り上げたシンガポールは18%台とのことですので、ランキングとしては30位以下となります。
もちろん、20%に到達していないから、30位以下だからと安心できることではありません。毎年着実に高齢化率は増加していくことでしょう。
高齢者増加による対策は、今回取り上げた“眼疾患の早期発見”はほんの一部にしか過ぎません。高齢者が増加するということは、高齢者の身体に関することだけでなく、それ以外の世代の生活にも大きな影響が出ます。
高齢者の介護に限らず、すべての業種で働き手のあり方は変わってくるでしょう。ある意味、まったく新しい価値観、あり方が求められる可能性があります。
この問題に関係ない人は、おそらくいないのではないでしょうか!?
それはどんな世界観なのか?どうあるべきなのか?そのような議論が世界的にすでにはじまっています。それが『ISO/TC 314「高齢社会」』と呼ばれる国際標準化に向けた議論です。世界中が直面する「高齢社会」に向けて今からルールを作っていこうと言うものです。
この取組み、見方を変えるとビジネス的には大きなチャンスとなります。新たなルールが世界基準で作られるとき、その基準の中心が自社のものだったらどうでしょうか?
ISOを定められる以上、WTO加盟国はTBT協定により従わなければなりません。もちろん日本も例外ではありません。他社のいいように基準が作られると、そこに合わせなければなりませんので、その対応をすることで提供機会を失うことになります。
逆に自社のものが基準となれば、競合他社に2歩も3歩も有利となるでしょう。
「高齢社会」国際標準化は、ヘルスケア領域において関係ない企業はないはずです。
すでに「高齢社会」国際標準化に向けて複数の日本企業が取り組んでいます。あなたが国際標準化を自社の武器にしたいと思うならご連絡ください(お問い合わせから「国際標準化について相談したい」と記載を)。簡単ではないですが日本企業にも有利となる流れもあります。チャンスは自ら取りに行ってください!
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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