『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“糖尿病管理スタートアップのClvi、「ラテンアメリカのLivongo」を目指す”
ラテンアメリカでは4,000万人以上の成人が糖尿病を患ってる。そして、世界のデジタルヘルス市場が今後7年間で1兆5,000億ドルに達すると見込まれている中、メキシコに本拠を置く糖尿病管理スタートアップ企業Clvi社は、糖尿病への医療提供に対する包括的、技術的、個別化されたアプローチを通じて病気の制御を支援したいと考えている。
「メキシコでは、患者約10,000人に対して平均1人の内分泌に関する専門医がいます。医師の診察を受けるのは 3 か月ごとかもしれませんが、慢性疾患の場合、患者は毎日決断を下す必要があります」とCliviの創設者兼CEOのRicardo Moguel氏はTechCrunchに語った。
Cliviは、患者を内分泌の専門家、栄養士、心理士と結びつけ、ユーザーが選択した通信チャネル(WhatsAppなど)を介してモニタリングや治療計画にアクセスできるようにすることで、人間とテクノロジーのバランスをとっており、治療目標をよりよく達成し、ライフスタイルを遵守できるようにしている。
Cliviは医薬品だけでなく、血糖計、試験紙、血液検査キットなどのあらゆる備品も提供している。
医療保険は月額790メキシコドルから始まるが、平均的な患者は民間保険で月額40メキシコドルを支払うことになる、とMoguel氏は述べた。
Moguel氏は、ラテンアメリカで糖尿病を抱えて暮らす人々は病気の治療開始が遅れることが多く、そのため平均余命が10年短くなる可能性があると説明した。Cliviは、患者がその内4年間を取り戻せるよう支援することを目指す。
2021年10月に運用を開始して以来、Cliviのプラットフォームはこれまでに数千人の患者を助け、そのうち94%が6カ月以内に糖尿病のコントロールを達成したとMoguel氏は述べた。
同社では現在、毎月平均 2,000人の新規患者がこのプラットフォームに参加している。また、過去15か月間で年間経常収益が200万ドルに達しており、Moguel氏は今後12か月間でその10倍の成長を見込んでいる。
記事原文はこちら(『TechCrunch』 2023年6月20日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
生活習慣病は世界的な課題です。高血圧症や2型糖尿病は、その入口的疾患であり、その後、心疾患などに発展する可能性があるため、早期にケアできるかが重要になります。
WHOによると、2型糖尿病を発症しやすいのは低所得者層、中所得者層が多い国とのことです。そのような国では、誰でもすぐに医療を受けたり、定期的検査を行っていないケースも多いため、より深刻化する率が高まると言えます。
2型糖尿病を発症する人の多くは、適切な生活習慣が苦手な人たちです。例え受診できたとしても、よくて1ヶ月に1回の受診で、生活習慣まで改善するのは難しいのが実態です。
そこで役立つのがデジタルヘルスです。デジタルを活用することで、日々の意識付けとなるアプローチができます。
ただし、毎日アプローチできたからと患者が自発的に取り組むかは別問題です。
デジタルヘルスを活用して生活習慣病に貢献する支援ビジネスは、患者が自発的に健康行動できるようにできるかが最も重要になります。その代表的企業がLivongo Healthです。
今回紹介したCliviが、患者をどれだけ自発的に健康行動させる工夫があり、多くの対象者に向けた仕組みを考えているのか?今後も注力していきたいと思います。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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