『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。

今回注目したニュースはこちら！
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“研究：Mayo Clinic、「片足立ち」が老化測定でもっとも効果的　“バランス能力”は性別関係なく如実に低下”

米Mayo Clinicなどに所属する研究者らが発表した論文「Age-related changes in gait, balance, and strength parameters: A cross-sectional study」は、高齢化に伴う歩行、バランス、筋力の変化を調査した横断研究である。

加齢に伴う身体機能の変化を調査するため、40人の参加者（65歳以上20に、50～64歳20人）を対象とした臨床研究を実施した。両グループ間で身長、体重、BMI、転子高、活動レベルについての統計的な差は認められなかった。

研究結果から、歩行パラメータには年齢による有意な変化が見られなかった一方、筋力とバランス能力には明確な加齢の影響を確認できた。特に注目すべきは、片足立ちの持続時間が最も顕著な加齢変化を示したことである。

非利き足側が10年当たり-0.62標準偏差、利き足側が-0.53標準偏差と顕著な低下を示した。

筋力については、10年当たりの低下率を標準偏差で見ると、握力が-0.34標準偏差、膝の伸展力が-0.26標準偏差を示した。性差に関して興味深いのは、筋力では男女差が認められたものの、バランス能力の年齢による低下率には性差が見られなかったことである。

この研究の重要な発見は、片足立ちテストが加齢による身体機能低下を評価する最も鋭敏な指標となることを示したことである。このテストは特別な機器や専門的技術を必要とせず、一般的な診療現場や自宅でも実施可能である。また、性別に関係なく評価できる点も大きな利点である。


記事原文はこちら（『ITmedia NEWS』2024年11月13日掲載）
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『mHealth Watch』の視点！

高齢者比率で言えば米国より日本の方が高いですが、高齢者人口では米国は日本を上回りますので、高齢者対応は深刻であり、それに合わせ高齢者対応ビジネスがすごい勢いで伸びています。

今回発表されたMayo Clinicによる研究結果は、簡単な測定で高齢者の身体機能の変化を把握できるものであり、特に器具などを使わず、どんなところでも行えるものとなっています。

このような手軽なやり方が、当たり前に普及していく（米国だけでなく世界で）と、皆で同じ基準で見ることができるようになり、当事者の納得感も深まっていくのではないかと思います。

問題は、現状がわかっても改善や維持のための健康行動につながりにくいことです。

もちろん、医療機関などで測定されれば、その場で自宅でできる運動方法を教えてくれるでしょう。教えてもらった方も、「これくらいならできそう」と思い、「先生、家に帰ったらやってみます！」と答えるので、その場のコミュニケーションとしてはよい結果につながりそうだと、医療者と患者の双方で思えるでしょう。

問題はここからで、対象者は教えてもらったことに満足してしまい、病院を出たら別のことを考え（帰りに買い物でもしようかなど）、家に着く頃にはすっかり忘れてしまった。となることがとても多いです。

このように忘れてしまうのは高齢者だけでなく、我々のような働いている現役世代でも、よく起きることでしょうないでしょうか!?

教えるだけで行動できる人もいますが、多くの人は悪気はなくても忘れてしまうものだと考えるべきです。ですので、チェックをしたら、その対象者が行動できるところまでセットでやる必要があります。

チェックと行動支援をセットでやる。もっと言うと行動が定着するまで寄り添ってあげる必要があるでしょう。実現するには医師が一人ひとり自宅まで見に行くわけにはいきませんので、こんなときこそデジタルヘルスが求められます。

現在の市場を見ても、まだまだデジタルヘルスが役立つ側面は多くあります。今回の記事を、改めて市場全体を見直してみる機会と捉えてはいかがでしょうか？

『mHeath Watch』編集　渡辺　武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。