『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“豊田通商、運動の成果を見える化し健康増進につなげるフィットネスジム対応コンサル型健康管理サービス『からだステーション』”
豊田通商株式会社(以下、豊田通商)は、2012年から試験運用を行ってきたフィットネスジム対応健康管理サービスを、このたび『からだステーション』として、シャープ株式会社(以下、シャープ)、株式会社ヒカリスポーツ(以下、ヒカリスポーツ)と提携し、本格展開いたします。
1. 背景
日本では、近年、医療費の増大が課題となっており、政府方針として公的保険外の運動・食事指導などの市場創造による医療費抑制が掲げられています。
豊田通商は、この課題に着目し、そのソリューションとして、業界初の「コンサル型健康管理サービス」の開発に、運動・健康の拠点であるフィットネスジム(以下、ジム)と共同で、取り組んできました。
2. 概要
このたび本格展開する『からだステーション』は、豊田通商がジムに貸与する ①システム・コンテンツ、 ②独自に開発した業界最軽量の専用「IC活動量計(以下、活動量計)」、③専用の測定機器(体組成計・体重計・血圧計)を使用します。ネットワークにより、会員ごとのジム内外の運動データと身体データを一元管理し、タブレット使用でグラフ表示などの「見える化」を実現。また、技術パートナーとして、パーソナル・コネクテッド・ヘルス・アライアンス*のメンバーであるシャープと提携することにより、安定したシステムの構築を可能にしました。
ジムでは、測定データに基づくトレーナーによる運動指導などのカウンセリングの提供や、ジムの外からでもPC・スマホでデータ閲覧が可能な「マイページ」機能などにより、CS向上を狙います。営業パートナーとして、ジム向けの卸売業者であり、同分野で国内最大のシェアを保有するヒカリスポーツと提携し、今後、5年後にジム500店舗(シェア約13%)、会員25万人の導入を目指します。
*パーソナル・コネクテッド・ヘルス・アライアンス:各種のICT機器と健康管理機器の相互接続・相互運用を可能にするためのコンティニュア設計ガイドラインを制定している国際的な業界団体。
プレスリリースはこちら(豊田通商株式会社、2015年5月22日発表)
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『mHealth Watch』の視点!
今回の注目ニュースは、フィットネスジム対応の健康管理サービスに関するニュースです。
このニュースを見た時に、今年の4月にNTTドコモと東急スポーツオアシスが発表した『OASIS LINK』を思い浮かべました。活動量計を活用して日常のデータとフィットネスクラブ内での運動データを一元管理し、スポーツクラブの会員に対して状況に応じて運動のアドバイスを行なう、という点ではかなり似ているような印象を受けました。
ウェアラブル機器など通信機能を備えた活動量計やフィットネスクラブ内の運動データ収集の流れも進歩してきているので、フィットネスクラブ内外のデータを一元管理し見える化するのは、以前よりも簡単に行なえるようになってきたのは事実です。しかし、これらのサービスの一番のポイントは、データを一元管理してなにが会員にとってのメリットになってくるのか、です。
それぞれのニュースを見ていると、最終的な会員へのメリットは、会員それぞれのデータに合わせてトレーナーがきめ細かくアドバイスする点になってくるのだと考えています。すなわち、これまでの「データの見える化」までのサービスから、「データを活用したリアルサービス」へとシフトしてきている、と言えます。
データを活用してどうリアルに結びつけていくは、いまのヘルスケアサービスでも皆さん注目をしている点のひとつだと思います。最終的なリアルである「人」や「モノ」や「場所」といった部分を磨き、どうシステムと連携させていくかがポイントになってきている、と考えています。
効率やスケールを求めると、どうしてもシステムが中心になったり、システム完結型になってしまいますが、利用者にとって本当の意味での価値を提供する部分は、あえてリアルを連動させるべきだと考えています。「モバイルヘルス × リアル」をどう実現していくか、今後注目すべき領域のひとつであるのは間違いないです。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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