『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
============================================
“パナソニック、トレーニング効果の検証に活用できるスポーツデータクラウドサービスを提供”
パナソニックコンシューマーマーケティング株式会社(以下、PCMC)が運営するパナソニックストア法人サイトでは、スポーツ中のバイタルデータをクラウドで管理し、トレーニング効果の確認やコンディショニングに向けたプラン作成の分析に活用できるスポーツチーム向けトレーニング支援ツールとして、スポーツデータクラウドサービスの提供を7月中旬より開始いたします。
近年、センサーデバイスの発達により、様々なウェアラブル機器による個人のバイタルデータの取得が簡単に行なえるようになっています。そのなかでPCMCではクラウドを用い、選手が行なうトレーニングや練習、練習試合時のバイタルデータを取得・蓄積し、練習メニュー別に負荷やトレーニング効果の確認を行なえ、継続してデータを管理できるスポーツデータクラウドサービスを提供いたします。
プレスリリースはこちら(日経プレスリリース、2015年7月1日発表)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
============================================
『mHealth Watch』の視点!
今回の注目ニュースは、スポーツデータクラウドサービスに関するニュースです。
パナソニックが発表したスポーツデータクラウドサービスは、様々なウェアラブル機器と連携させてアスリートのバイタルデータをクラウドで管理・蓄積し、アスリートのトレーニング負荷や効果確認ができ、そのデータを活用してアスリートのパフォーマンスアップやチーム力の向上に役立てるといったものです。
開始時に対応するウェアラブル機器は「バイタルコネクト社」が提供する胸に貼りつけるタイプの「ヘルスパッチ」で以下のデータの管理が行なえるとのこと。
・心拍数
・消費カロリー
・ステップ数
・3軸加速度センサー活用データ
・呼吸数
・表皮体温
今後対応するウェアラブル機器は、順次追加していくようですが、アスリート側からの気になる点として、ひとりのアスリートが複数のウェアラブル機器を装着してトレーニング及びゲームを行なうことが現実的かどうか、という点です。
アスリートや競技内容によっては、複数のデータを組み合わせて確認、評価するケースも出てくると思いますが、その複数のデータがひとつのウェラブル機器で対応できない場合には、複数のウェアラブル機器の装着が必要になってきます。
もうひとつ気になる点として、管理する側、指導者側が運動トレーニングの専門家であれば、データを見て一人ひとりの状況に合わせてトレーニングメニューが提示可能かもしれませんが、戦術や練習メニュー、トレーニングメニューなどが分業制になっていない監督やコーチの場合、データの有効的な活用へのハードルがあるような気がしています。
たしかに、ウェアラブル機器と連携したクラウドのプラットフォームを利用することで、チームをまたいだ選手の管理や継続的なデータの蓄積によってパフォーマンス向上に役立てられると思います。
しかし、本来このサービスを使用するアスリートと管理者や指導者側の使い勝手を追求していかなければ、使ってもらえるサービスにはなっていきません。団体、チーム向けのソリューションではありますが、やはり本当の意味での利用者に目を向けていかないと拡がっていきません。
連携するウェラブル機器が増えること、そしてデータを活用した指導ロジックの提供が今後の拡がりのポイントだと感じています。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
Comments are closed.