『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“ウェルビーと大日本印刷、患者向け自己管理(PHR) サービスで連携
ウェルビーの患者向けサービスに『DNPモニタリングシステム Your Manager』を搭載。服薬記録に対応するセンシング技術を活用し、より利便性の高いPHRサービスを提供”
ウェルビー社と、大日本印刷社は、患者向け自己管理(PHR:Personal Health Record) サービスにおいて連携します。
今回の連携によって、ウェルビーが提供するPHRサービスに、DNPが開発し実用化が進む『DNP モニタリングシステム Your Manager』を搭載することが実現します。これにより、これまで患者さんが手動で入力をする必要があった服薬の記録が、『DNP モニタリングシステム Your Manager』により自動的に取得することができるなど、より利便性が高くなります。両社は5月より本サービスの開発を開始し、今年の秋頃より提供を開始する予定です。
【『DNP モニタリングシステム Your Manager』について】
『DNP モニタリングシステム Your Manager』は、電子モジュールを内蔵したデバイス(カードまたはパッケージ)で、その記録を読み取るNFCカードリーダー、データを管理するアプリケーションで構成されています。カードのボタンを押す、パッケージから薬を取り出すなどの行為を行うことで情報が時刻とともに記録されます。このカードやパッケージをNFCリーダーにかざすことでパソコンやスマートフォンにデータが転送され、患者は情報の自動連携や閲覧をすることができます。今回通信方式は、自動でデータ送信可能なBluetooth方式に変更しています。
プレスリリースはこちら(株式会社ウェルビー2017年5月22日発表)
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目ニュースとして取りあげるのは、服薬記録とPHRの連携に関して、特に「服薬記録」にフォーカスしてみたいと思います。
薬を服用するということは、慢性的な疾患を持つ患者さんだけではなく、一時的に病気を発症した方々にも共通する治療のひとつです。しかし、この服薬に関しては、飲み忘れはもちろん勝手に中断してしまうなど課題が多いことも事実です。
服薬については、忘れずに薬を服用するためのサポート「服薬支援」と薬を飲んだ結果を記録する「服薬記録」に大きく分けることができます。
今回のニュースではもともとのPHRサービスに、「服薬記録」の自動化のシステムが連携するというものです。「服薬記録」の面倒な入力作業が、NFCカードリーダーでスマホと連携することで自動化されるため、入力のハードルは簡便になると思います。
しかし、自動化されると言っても完全自動化ではなく、NFCカードリーダーからのデータの転送作業など、利用者側での作業が完全に無くなるわけではありません。そうなると、やはりNFCカードリーダーを「継続」して利用してもらう、NFCカードリーダーからスマホに継続的にデータを転送してもらうなど、「継続」という課題は存在します。
そこで重要になってくるのが、「服薬記録」の意味や「服薬記録」をすることによるメリット、価値を利用者がどこまで受け取れるかどうかです。なんのために「服薬記録」が必要なのか? またPHRと連携するとどんなことが見えてくるのかなど、利用者がそのあたりをしっかりと見つけられるかが、「服薬記録」という“作業”をするためのポイントになってくるような気がしています。
データを溜めるためのサービスではなく、溜めたデータをどう価値として提供するかが、記録サービスでは必要になってきていると思います。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。食コンディショニングアドバイザー。
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