『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“VRで認知症を体験、約9割が「理解進んだ」”
公益社団法人全国老人保健施設協会(全老健)は、平成29年度独立行政法人福祉医療機構社会福祉振興助成事業により、「バーチャルリアリティ認知症状体験事業」を実施しました。
体験会の参加者はVR機器を活用し、認知症の中核症状(記憶障害、見当識障害等)やBPSD(認知症の行動・心理症状)を疑似体験します。これにより、認知症の人の行動への理解を深め、認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの一助となることを目指したものです。
・現状と課題
全老健は、認知症の中核症状・BPSDへの正しい理解を広めるには、当該分野に関する教育機会の提供が不可欠と考えていました。全老健では既に年間を通じて、介護老人保健施設(老健施設)職員を対象とした専門領域の教育研修を実施しています。しかしVR視聴により、中核症状・BPSDを「疑似体験」し、自身の視覚・聴覚で「感じる、体験する」ことにより、学習効果が高まることを期待しました。
・VR体験会の実施
プログラムは株式会社シルバーウッドが提供し、進行を行いました。一般的なプログラムでは、3本のVRコンテンツを視聴。それぞれについてグループディスカッションを行い、解説を受けます。また参加者は体験会の前後で、アンケートに回答します。
・VR視聴後の印象と推奨意向
VR試聴体験後、VR認知症状体験の効果等に関する質問に回答を求めました。結果、「VRの視聴により認知症者への理解が進んだり介護の際に感じる心理的負担感が和らいだと感じますか」との設問に対し、「非常にそう感じる」、「そう感じる」との回答が88.6%を占めました。
また、「VR試聴体験を他の方にも勧めたいと思うか」をたずねたところ、90.7%(380名)が「はい」と回答しました。
さらに、VR試聴体験を他の人にも勧めたいと回答した参加者に、試聴体験をしてもらうのが良いと思われる対象をたずねたところ、「介護施設・事業所や医療機関の職員に向けた教育・研修」(73.2%)が最も多く、次いで、「介護を担う人向けの家族介護教室(63.2%)、「一般市民向けの認知症への理解を促進するセミナー」(61.6%)が続きました。
記事原文はこちら(『MoguraVR』2018年6月18日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回取り上げるのは、認知症患者がなぜそのような行動を取ってしまうのか? 健常者では理解しにくい側面を、VRを使うことで認知症患者の感じること思うことをリアルに知ることができる体験会の報告です。
上記は記事から一部抜粋したものですが、記事本文もぜひご一読いただきたいです。
VRコンテンツには3つのテーマが用意され、認知症患者が感じることをストーリー仕立てで体感できるものでした。
今回体験会に参加したのは、介護・医療・福祉など、仕事で日常的に認知症患者に接している方が主な対象者となりました。まずはそのような専門職の方々が知る、体感することは大切だと思います。アンケートからもすぐに役立てられるとのコメントが多いようです。
認知症患者と接するのは専門職だけではありません。MCI(軽度認知障害)まで含めれば、身近な家族だけでなく、今後は街で接する人の中で対象者の比率も増えていくでしょう。このような体験会は、一般の人々、それこそ子供から大人まであらゆる人が講習を受けるべきではないでしょうか?
認知症患者の気持ちを少しでも想定できた上で接することができるかで、不安を感じている認知症患者に、少しでも適した(安心感を与える)接し方ができるようになるのではないかと思うのです。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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