『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「
今回注目したニュースはこちら!
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“2型糖尿病の徴候は診断の10年以上前から現れる日本人データを解析”
新たに糖尿病や前糖尿病と診断された人たちでは、診断の10年以上も前から空腹時血糖値(FPG)異常やインスリン抵抗性の増大といった糖尿病の徴候がみられることが、相澤病院(長野県)糖尿病センターの提坂浩之氏と同顧問の相澤徹氏、同病院健康センターの小池秀夫氏らの研究グループの検討で分かった。糖尿病の発症を防ぐには、これまで考えられていた以上に早期からの介入が必要であることが示唆された。研究の詳細は欧州糖尿病学会(EASD 2018、10月1~5日、ベルリン)で報告され、論文は「Journal of the Endocrine Society」5月号に掲載された。
研究グループは今回、2005~2016年に健診でFPGやHbA1c値を測定した成人男女27,392人を対象に、後ろ向きに平均で5.3年間追跡した。この期間中に新たに糖尿病やいわゆる境界型を指す「前糖尿病」と診断された人たちについて、10年前までさかのぼってFPGやBMI、インスリン抵抗性指数を調べた。
追跡期間中に糖尿病を発症した人は1,061人、前糖尿病を発症した人は4,781人であった。解析の結果、糖尿病を発症した人では、発症しなかった人に比べて10年前の時点で平均FPG値とBMIが有意に高く(FPG:101.5mg/dL対94.5mg/dL、BMI:24.0対22.7、P<0.01)、インスリン抵抗性指数は有意に低い(7.32対8.34、P<0.01)ことが分かった。また、前糖尿病になった人でも、ならなかった人に比べて10年前の時点でFPGとBMIが有意に高く、インスリン抵抗性が増大していた。
記事原文はこちら(『ウーマンズラボ』2018年11月7日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、2型糖尿病の徴候は診断の10年以上前から現れるというニュースです。
現在、2型糖尿病に関して「糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)」は約1,000 万人と推計され、「糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)」も約1,000 万人と推計され、「糖尿病」はまさに国民病とに言える状況です。
今回のニュースの中の調査では、2型糖尿病は診断の10年以上も前から空腹時血糖値(FPG)異常やインスリン抵抗性の増大といった糖尿病の徴候がみられるとのこと。
また、糖尿病を発症する過程では徐々に血糖値が悪化し、糖尿病の「前段階」というステップを踏むため、実際には糖尿病と診断される20年以上も前にその徴候が現れると考えられるようです。
糖尿病の患者の平均年齢は男女とも70歳代ですが、糖尿病は40歳を過ぎると増えはじめます。
今回のニュースの中の「糖尿病と診断される20年以上も前にその徴候が現れる」ということからすると、40歳代で糖尿病と診断される人達は20歳代で既に兆候が現れることになります。20歳代で2型糖尿病のリスクを感じて生活習慣に気を遣って実際に取り組んでいる人は、ごく少数だと思います。
しかし、今回のニュースの中の調査結果からすると、20歳代から生活習慣を整えておくことが、将来の2型糖尿病のリスクを軽減するためには必要になってきます。
やはり、20歳代からの「ヘルスリテラシー」を高めて実践できるようにしておくことが糖尿病の予防には重要で、また保険者にとっても将来の医療費の削減にも有効な手段だと言えます。
若い世代に向けた、健康の「知識+行動」をセットにした「ヘルスリテラシー」のアプローチの重要性を今回のニュースを見て強く感じました。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、
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