『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“カシオ計算機×アシックス、ランナー向けパーソナルコーチングサービスを開始”
カシオ計算機は、アシックスとスポーツを通して健康で活気ある社会の実現を目指した価値共創事業を本格的に開始すると発表した。
共創事業の第一弾として、ランナー向けパーソナルコーチングサービス『Runmetrix(ランメトリックス)』の提供を3月4日に開始する。
スマートフォンアプリ、モーションセンサー、「G-SHOCK」を組み合わせたランナー向けのパーソナルコーチングサービスとなっており、スマートフォンアプリは、1月27日に先行してリリース。3月4日発売のモーションセンサー「CMT-S20R-AS」(税込14,080円)、腕時計のG-SHOCKシリーズ「GSR-H1000AS」(税込57,200円)と連携することで、コーチングサービスの利用が可能となる。
モーションセンサーを用いることでランニングに関する20種類以上もの指標を算出。ランナーにとって分かりやすい項目に置き換えることで、走りの特徴を可視化し、改善点や練習プログラムなどを提示するという。
従来のアプリサービスの多くは、距離、ペース、ピッチ、ストライドといった項目を測定して記録するという機能が主だったが、同サービスでは、よりランナーのニーズに寄り添った機能を搭載。モチベーションの維持向上をサポートする。
同社によると、スポーツが心身の健康にもたらす効果に注目し、同社がもつウエアラブルデバイスの開発力やセンシング技術のノウハウと、アシックスがもつスポーツ工学の知見やデータという両社の強みを生かし、スポーツ・健康市場においてひとりひとりにパーソナライズされたユーザー体験の提供を進めていくという。
記事原文はこちら(『CNET Japan』2021年1月27日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
最初にお断りしておくと、今回は少々、手厳しめのコメントを書かせていただきます。
今回のニュースを見て「カシオもついにソリューションまではじめたか!」と嬉しく思う反面、提供される内容を読むと「過去にたくさん登場してきたが、いつの間にか無くなってしまったサービスと同じ匂いがする」と感じました。
もちろん、詳細まではわかっていないので、取り越し苦労だったとなる場合も大いにあります(本心はそうあって欲しい!)。
ランナー向けにデバイス+ソリューションとしては、adidasなどスポーツアパレル企業もこのような展開をしていました。異色のところではメガネのJINSが「JINS MEME」というスマートグラスを活用してランナー向けのコンテンツ提供などを行っていました。いずれもそれほどシェアが伸びずに終了しています。
今回のカシオの取組みは、終了したサービスと何が違うのか?
コメントを見ると
「従来のアプリサービスの多くは、距離、ペース、ピッチ、ストライドといった項目を測定して記録するという機能が主だったが、同サービスでは、よりランナーのニーズに寄り添った機能を搭載。モチベーションの維持向上をサポートする」
このように書かれているわけですが、このような機能レベルの違いで、本当に多くのランナーに活用されるものになるのでしょうか?
ランナーが求める価値は機能(ソリューションも含め)だけで考えてはいけないと思っています。
ワコールが「CW-X」で、なぜスポーツタイツという新たな商品で市場を開拓できたのか?セイコーエプソンが、なぜ後発ながらランニングウォッチ(現在は終売)で上位に食い込むまでになったのか?
失敗したものとの比較も大切ですが、成功したものからも大いに参考にしていただき、ランニング市場に根付くものになって欲しいと願います。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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