『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“目標について話す頻度が高いほど目標に向けて行動を起こしていることが明らかに ”
コーチ・エィ社は、コーチング研究所による、組織の目標について話す頻度と目標に対する意識と行動の関係性についての調査結果を発表したことをお知らせします。
■目標について週に一度話す人の9割が行動を起こしている
コーチ・エィの「システミック・コーチング™(※)」では、組織に所属する人々が自分たちの組織の目標について頻度高く話し、自ら変容していくことが、目標達成に向けた大切な要素の一つだと考えています。
※ 個人の成長支援にとどまらず、個人を取り巻く関係性に焦点をあてたコーチングアプローチ
今回は従業員100名以上の日本国内企業を対象に組織の目標について話す頻度と、目標に対する意識と行動に関するWebアンケートを実施し、経営者層、管理職層、非管理職層を含む計506人から回答を得ました。その結果、組織の目標について対話しているか否かで、目標に向けた行動に大きな差があることが明らかになりました。
週に1回以上目標について話をする人のうち87%の人が実際に目標達成に向けて行動を起こしていることがわかりました。目標について話す頻度が半月に1回、あるいは月に1回程度になると、その割合が約60%に減少、さらに2‐3ヶ月に1回、半年に1回になると3割に減少します。
週1回以上から半年に1回は目標について話すと回答した人のうち、行動を起こす人の割合には差があるものの、目標を覚えていると回答する人の割合は全体の9割に達しています。しかし、目標について話をするのが年1回になると、その数が大きく減少し、約半数の人が目標を覚えてすらないと回答しています。
■役職による意識の違いも明らかに
さらに、所属部署の通期目標についての設問の回答を役職別で見ると、経営層は約7割が自部署の通期目標に向けて行動していると回答している一方で、一般社員になるとその数が約3割に減少します。
理由は明確ではありませんが、役職によって目標に対して負っている責任の大きさが影響している可能性があります。
目標について話す頻度に関する回答結果と併せて考えると、目標達成に向けた行動を促すには、どの階層の社員に対してもまずは目標を話題にすることが効果的だということができます。
記事原文はこちら(『TECHABLE』 2023年3月27日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、目標について話す頻度が高いほど、目標に向けて行動を起こしているというニュースです。
今回の調査結果はヘルスケアに限定したものではなく、一般的なビジネスの現場での調査結果になります。
ヘルスケアの領域でも、ビジネスの現場と全く同じで、個人の健康改善、健康への取り組みも、目標を達成するためには行動が必須になってきます。
この目標が「主」で、その目標に向けた具体的な行動が「従」という関係で、目標と行動は「主従の関係」になっています。
しかし、目標、ゴールに向けた具体的な行動を自ら設定しても、行動が続かないといった、所謂「三日坊主」が起こってしまうのです。
これは、ビジネスの現場でも個人の健康に向けた取り組みでも同じです。
この「三日坊主」で行動がストップしてしまう原因の一つとして考えられるのが、目標と行動の「主従の関係」が崩れて、「行動」が「主」に入れ替わってしまうことです。
具体的な取り組みである「行動」への意識が大きくなるのは当然のことで、それが悪いということではありません。
しかし、なんのための「行動」なのか、なんでこの行動が必要なのかといった、目的意識を常に持ち続けないと「行動」そのものへの意識も薄れていってしまうのです。
今回の調査結果で、目標について話す頻度が高いほど目標に向けて行動を起こしていることがわかったというのは、ある意味当然のことなのですが、ヘルスケアサービスを見渡してみたときに、目標を定期的に意識するような働きかけ、仕組みをしっかりと入れたサービスがどれくらいあるのかというと、かなり少ないような気がしています。
記録の簡便性やデータの見せ方などには、様々な工夫を取り入れたり、テクノロジーを駆使したりといったアプローチは多く見受けられますが、行動、記録を継続するための本質である目標へのアプローチに関しては、あまり力を入れていないサービスがほとんどです。
どんなに使い勝手の良い機能、サービスを提供したとしても、対象者の行動が継続されない限り、対象者の目標は達成されないのはもちろんですが、サービス自体も継続して利用されないのです。
行動を継続してもらうための本質的な部分へのアプローチこそが、本当の意味でのサービスの継続に直結しているのです。
目標を常に目にするようにしたり、定期的に目標をリマイドしたりといった、簡単なことでも目標に触れる、意識する機会は増やせるはずなのです。
目標と行動は「主従の関係」で、行動に直結しているからこそ「目標」へのアプローチは切り離せないものだということをあらためて今回の調査結果を見て感じました。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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