『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“企業が発信する情報、女性はどれくらい信頼している?(20〜50代)”
情報を発信する個人・専門家・企業・媒体が増え、同時に生活者個々が接触する情報量も爆発的に増加。さらにはフェイクニュースやステルスマーケティングが問題になる中、生活者は企業の情報をどれくらい信頼しているのか?
調査概要
マーケティングリサーチ会社のアスマーク(東京・渋谷)が、20〜50代の男女800人を対象に「情報取得に関するアンケート」調査を実施(2023年2月)。その中で、信頼できる情報ソースについて聞いた。
若年ほど企業を信頼、40・50代は1割台
「普段、世の中の情報を受け取る際に、信頼できると感じる情報ソースは?」と聞いたところ、女性は全年代で「友人・知人・家族」と「専門家」への信頼が厚い一方で、「芸能人」「インフルエンサー」「インフルエンサーを除く著名人」への信頼は著しく薄いことがわかった。「企業」と「有識者」はその中間といったところだ。
年齢が若いほど「企業」を信頼する傾向がある一方で、中年層は1割程度。消費経験や人生経験を積むなかで消費基準が確立され、企業を見る目が厳しくなったり情報を鵜呑みにしないといった姿勢が評価に表れているのかもしれない。とは言え、20代・30代についても、企業を信頼しているのはわずか3割にとどまる。やはり圧倒的に信頼できるのは、いずれの年代も「友人・知人・家族」といった身近な人。自社商品・サービスの認知向上やPRを強化するなら、自社の情報発信だけではなく、ターゲットの身近にいる人や専門家によるコメントを積極的に組み合わせるのが良さそうだ。
ちなみに男性の企業への信頼度も、女性と大方同様。興味深いのは、男性の「友人・知人・家族」への信頼度。女性ほどは身近な人の情報を信頼していないようだ。
記事原文はこちら(ウーマンズラボ 2023年7月17日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、信頼できる情報ソースに関する調査結果の情報です。
この調査結果の中で、私が特に注目した点がいくつかあります。
まず一点目が、若年層のSNSの利用状況やインフルエンサーマーケティングなどからすると、「芸能人」「インフルエンサー」「インフルエンサーを除く著名人」への情報の信頼度は高いものだと感じていましたが、そこまで高くないことです。
「芸能人」「インフルエンサー」「インフルエンサーを除く著名人」などからの情報は、情報収集という位置付けであって、実際に試してみたり購入するといった基準で見ていないということなので、あらためて感じました。
次の注目点は、女性、男性も含めて「友人・知人・家族」の情報の信頼度が高い点です。
男性よりも女性の方が、「友人・知人・家族」の情報の信頼度は高く、やはり女性は口コミを好み、特に周囲の人からの情報や口コミに流されやすいというのが、この調査結果でも裏付けされている印象です。
企業や職域での健康の取り組みにおいて、いかに「健康」を社内や団体の中で拡げていくのかという点で、今回の調査結果にはヒントが隠れていると思います。
というのは、健康の取り組みにおいては、提供する側の企業や健保としては、企業、健保としての情報提供や専門家を活用した情報提供を行うケースが多いと思いますが、それよりも、社内や団体の中の身近な人の中で、特に健康への取り組みで成果を出している人などに協力してもらって、情報発信や口コミを伝播させていく仕組みを活用した方が、実際に情報自に対する信頼度が上がって、真似してみる、試してみるといった行動につながりやすいのです。
専門家の正しい情報を上から目線で聞くよりも、例えば同じ社内で成果を出した人の取り組みを共有した方が、同じ内容の情報であっても、響き方、そしてその後の行動へのつながり方も異なってくるのです。
今回の調査結果の中には、誰に健康を語ってもらったほうが信頼度が高いのかのヒントが隠れていますので、ぜひ参考にしていただき、実際に活用してみてください。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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