『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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【シニア女性の健康に関する意識と実態調査】
健康に関する価値観は「一生自分の足で歩きたい」「ボケたくない」が高い一方、 「長生きしたい」と考える人はわずか7.4%。 ”
女性誌販売部数 No.1(※1)の雑誌「ハルメク」をグループで発行するハルメクホールディングス ハルメク 生きかた上手研究所は、50~79歳の女性476名を対象に「健康に関する調査」をWEBアンケートにて実施いたしました。
(※1)日本 ABC 協会発行社レポート(2022年7月~12月)
【 調査サマリ 】
■健康に関する価値観は「一生自分の足で歩きたい」「ボケたくない」が圧倒的多数で、いずれの年代も7割以上の方が回答。一方、「長生きしたい」は全体で7.4%とかなりの少数派。
⇒「一生自分の足で歩きたい」が89.7%、「ボケたくない」82.6%、「子どもに迷惑をかけたくない」が48.9%でTOP3。「長生きしたい」は7.4%。
⇒健康に関する悩みとしては「健康のための活動をしたいが、継続的に行うことが難しいと感じる」が最も多く42.9%。一方、「健康全般に関する意識、悩みはない」も全体で22.9%、70代では32.2%を占める。
■将来悪くなりそうで不安を感じている体の部位は、「目」「歯」「腰」。 現在は悪くないが、心配している体の部位は、「脳」「血管」「心臓」。
■将来悪くなりそうで不安を感じている体の症状は、 「疲れやすい/疲れが抜けない」「骨粗しょう症」「自律神経のみだれ」。 現在は悪くないが、心配している体の症状は、「骨粗しょう症」「尿もれ」「嚥下障害」。
■1年間で健康にかけている平均金額は全体で「128,829円」。そのうち「運動サービス」の占める割合は27.6%。
⇒健康にかけるお金の内訳を見ると、「運動サービス」が平均35,567円で最も高く、次いで「医薬品・医療品」が22,876円、「サプリメント」19,767円となっている。
■自分にとって”健康である”状態は「自分のことは自分でできること」。
⇒他の人に頼らず一人で生活できる、自分のことは自分でできることを多くの人が望んでいる。
■行っている運動はストレッチ・体操が1位で79.8%、2位はウォーキングが74.4%と高い。
⇒一回あたりの平均運動時間は「ストレッチ・体操」が25分、「ウォーキング」は54分。
⇒70代は「筋トレ」や「その他の有酸素運動(ジョギング/水泳/スポーツ全般など)」の実施割合が他年代に比べて高い。
【調査背景】
女性誌販売部数No.1の「ハルメク」は、シニアの インサイトについて調査・分析を行っています。シニア層は、若年層に比べ、健康に対する意識が高いと言われています。また、近年ではカーブスに代表される女性向けフィットネスジムのほか、chocoZAPに代表されるコンビニジムなども話題となっています。シニア層が現在不調に感じる体の箇所や将来の健康不安のほか、健康に対する価値観や健康づくりへの取り組みについて、どのような意識・実態を持っているのかを把握すべく、「中高年世代の健康に関する意識と実態調査」を実施しました。
【調査概要】
調査の方法:WEBアンケート
調査の対象:50~79歳の女性
有効回答数:女性476名
調査実施日:2023年9月8日~9月11日
調査主体:(株)ハルメクホールディングス 生きかた上手研究所
プレスリリースはこちら(株式会社ハルメクホールディングス 2023年10月25日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するのは、雑誌「ハルメク」が調査した50~79歳の女性を対象にした「健康に関する調査」結果についてです。
特に目に留まった点として、50歳以上の女性の健康への価値観で、「長生きしたい」が少数派だったということです。
一般的な高齢者の願望として、「長生きしたい」「健康でいたい」などが上位に入るイメージですが、実は漠然とした「長生き」や「健康」といったことよりも、具体的にどうしたい、どうありたいといった自分ごととしてイメージしやすい願望の方が意識が高いということなのです。
健康への価値観として圧倒的に多いのが「一生自分の足で歩きたい」「ボケたくない」という結果で、やはり自立した生活を送りたいということが高齢者の意識として高いのではいかと思います。
また、それを裏付けるように、「子どもに迷惑をかけたくない」といった意識も高いことや健康である状態は「自分のことは自分でできること」と回答する人が多数ということからも、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)をより長く伸ばして自立した生活をいつまでも送りたいのだと考えられます。
健康への価値観として「一生自分の足で歩きたい」「ボケたくない」といった意識が高いのですが、健康に関する悩みとしては「健康のための活動をしたいが、継続的に行うことが難しいと感じる」と回答する人が多い結果で、やはり「健康行動」の継続は高齢者にとっても大きなハードルとなっており、高齢者に限らず各年代を通じた課題になっています。
「一生自分の足で歩きたい」「ボケたくない」といったことは、高齢者ならではの価値観ですが、実は高齢者になってから対策に取り組んでも健康行動の継続にはハードルが付き物であるため、実際には対策が打てていない、取り組めていないのが実情なのかもしれません。
やはり、高齢を迎える前の年代から健康的な生活習慣を手に入れておくことが高齢者になってから慌てる必要がない重要なポイントなのかもしれません。
高齢になってからではないと気づかない高齢者ならではの健康への価値観を、高齢になる前から意識してもらえる仕掛けは難しいアプローチなのですが、介護に向けた早めの対策につながるアプローチであることは事実なので、健康と介護の垣根を取っ払って検討してみても良いテーマかもしれません。
今回の調査結果を見て、あらためて気づいたテーマでした。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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