『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“歯の数が多く、嚥下機能が良好だと、2年後の栄養状態が良好!フレイルやサルコペニア予防に期待 ”
◆発表のポイント
・低栄養は、フレイル(加齢に伴う心身の虚弱)やサルコペニア(筋肉量や筋力の低下)のリスクを高めると言われています。
・今回のコホート研究において、現在歯数が多く、嚥下機能が良好な人は、2年後の栄養状態が良いことがわかりました。
・現在歯数や嚥下機能を維持し、良好な栄養状態を保つことで、将来のフレイルやサルコペニアを予防できる可能性があります。
岡山大学病院歯科・予防歯科部門の澤田ななみ医員、岡山大学学術研究院医歯薬学域予防歯科学の江國大輔教授らの研究グループは、高齢者において、現在歯数が多く、嚥下機能が良好であると、2年後の栄養状態が良好であることを明らかにしました。この研究成果は、2023年10月17日、イギリスの学術雑誌「Gerodontology」にオンライン掲載されました。
本研究の結果から、現在歯数や嚥下機能を維持し、良好な栄養状態を保つことで、フレイルやサルコペニアを予防できる可能性が示唆されました。これは介護予防にもつながり、健康長寿社会を目指す日本において、健康寿命を延伸する一助となる可能性もあります。
◆研究者からひとこと
身体の健康とお口の健康は密接な関係があります!
健康な歯を残し、飲み込む力を維持するためには、定期的な歯科受診が大切です。
皆様の将来の健康のために、ぜひ、お近くの歯医者さんを訪ねてみてください♪
プレスリリースはこちら(国立大学法人岡山大学 2023年12月21日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目したのは、岡山大学の研究で、高齢者において、現在歯数が多く、嚥下機能が良好であると、2年後の栄養状態が良好であることを明らかにしたニュースです。
最近は、口腔衛生、口腔ケア、嚥下機能、咀嚼力などが、健康寿命はもちろん、生活習慣病にも大きく関係していることが明らかになってきており、口腔からの身体へのアプローチがヘルケアの領域でも多くなってきている印象です。
今回ご紹介した岡山大学のニュース以外にも、2023年12月だけでも、以下のような口腔関連のヘルスケアのニュースがありました。
ロッテ、「ガム咀嚼トレーニング」により高齢者の噛む力が向上することが明らかに
健康的な身体づくりや維持に向けた3つの要素 として「運動」「休養」「栄養」と言われています。
この中でも「栄養」は特に重要で、その栄養を身体に取り込む器官として「口」の役割は大きいです。
口腔状態はもちろん嚥下機能、咀嚼力などが低下することで、しっかりとした栄養補給ができなくなることで身体全体に影響を及ぼすことになり、口腔状態の低下が身体への負の連鎖につながっていくことになるのです。
しかし、口腔状態と身体との関係で現在わかってきていることはまだまだ一部で、これからまだまだ口腔状態と身体との関係が明らかになっていくのではないかと期待しています。
口腔衛生、ケアはもちろん口腔状態、機能の向上からの健康へのアプローチは、2024年の注目テーマの一つになりそうなので、注目していきたいと思います。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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