『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
============================================
“ NBSロジソル 業界初・高血圧オンライン診療「イーメディカル」を全トラックドライバーに福利厚生導入 ”
脳血管疾患・心疾患などによる「健康起因事故」を未然に防ぐ。運行の安全への責任と、健康増進によるドライバーの長期確保へ取り組み開始。
刀の子会社であるイーメディカルジャパン社と、日本全国に40拠点、計800台以上のトラック等運輸車両で全国の物流を支える総合ロジスティクス企業、NBSロジソル社は、業界で初めて高血圧オンライン診療サービスを所属する全ドライバーに福利厚生として導入開始します。
オンライン診療の導入により、高血圧を主なリスク要因とする心臓疾患(心筋梗塞等)、脳血管疾患(くも膜下出血等)、大動脈解離などを未然に予防し「健康起因事故」による重大事故防止に貢献します。事業者として運行の安全により責任をもって取り組むとともに、物流の2024年問題に対してもドライバー1人1人の健康を企業として支援。長期に働ける環境づくりを進め、最も重要である人材確保へも取り組みます。
本導入にあたっては、イーメディカルジャパンが提供するオンライン診療サービス「イーメディカル」を活用します。全国を飛び回る業務のなかで血圧測定を習慣化しづらい環境のなか、血圧計とアプリの連動で簡単便利にセルフマネジメントができるほか、通院が必要な従業員には6~23時(土日祝も含)の幅広い診療時間、全国どこからでも診療できるシステムで応え格段に血圧対策のハードルを下げることができます。
脳血管疾患・心疾患による「健康起因事故」の防止に、ロジスティクスにおける血圧管理の重要性は高い
健康状態による事故や運転継続が不可能になる「健康起因事故」は、事業用自動車の運行事業者にとって運行の安全に関わる課題で、全国的にも度々注目される社会課題です。
過去に同事故を起こした運転者の疾病別内訳で心臓疾患(心筋梗塞等)、脳血管疾患(くも膜下出血等)、大動脈解離など高血圧を主なリスク要因とする疾患が約32%を占め、さらに運転者の死亡が発生した事故では3つの疾患で約79%を占めます*1。高血圧に適切に対処、管理することは事故発生を未然に防ぐカギです。
全国各地を飛び回るドライバーでも参加・習慣化しやすい便利で安心な血圧管理・オンライン診療
これまでは企業として上記のようなリスクを認識していたとしても、健康診断の結果をもって受診勧奨をする程度にとどまっている例が多く、全国を飛び回るドライバーの皆さんが恒常的に血圧管理をしたり、病院・薬局に定期的に通って診療を受けるような正しい管理に繋げるには様々な壁がありました。
今回、個人に配布される血圧計とアプリを使った血圧管理、そして全国どこからでも、早朝や深夜も含めた隙間時間でオンライン診療ができるサービスの導入で、格段に取り組みやすい環境が整います。
また、企業として血圧を健康レベルの指標として設定し、血圧を通じた健康管理を全面的にバックアップすることでドライバー同士の意識向上も期待されます。
プレスリリースはこちら(イーメディカルジャパン株式会社 2024年10月18日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
============================================
『mHealth Watch』の視点!
今回注目したのは、「健康起因事故」を未然に防ぐことを目的に、高血圧オンライン診療サービスをトラックドライバーに福利厚生として導入したというニュースです。
物流・運送業界「2024年問題」として、ドライバーの残業時間の上限が設定されるなど、トラックドラバーの働き方改革も進んでいます。
その背景には、人手不足はもちろん残業時間の上限が設定されていないなどの労働環境が未整備などが関係していると思いますが、それらよって、トラックドライバーの健康状態への影響も少なからず影響していると思われます。
トラックドライバの健康への影響は、通常の労働者と異なって、事故につながる恐れがあるため、トラックドライバーの「健康起因事故」は、以前から注目されていたテーマの一つです。
しかし、これまでのトラックドライバー向けの「健康起因事故」削減に向けた取り組みは、ヘルスリテラシーの向上やアプリサービスの提供など、どちらかというとトラックドライバー任せの取り組みの提供だけであった印象です。
今回の取り組みの特徴として、全国を飛び回るトラックドライバーに向けて通院が必要なケースでは6~23時(土日祝も含)の幅広い診療時間、全国どこからでも診療できるおオンライン診療の提供、そして家庭血圧計を全員に配布し、血圧測定を点呼と紐づている点です。
血圧測定を習慣化しづらいトラックドライバーの環境のなかで、血圧測定を点呼と紐づけることで、測定への意識はもちろん血圧への意識も確実に高まると思われます。
健康の取り組みや測定などは、基本個人での取り組みであるため取り組みそのものは個人差が出てしまうケースが多いものですが、今回の取り組みのように点呼との紐付けなど会社の仕組みの中に入れ込むことで、個人ごとの取り組みの差は比較的少なくなるのと、意識の継続が保てるような気がしています。
健康経営の取り組みはもちろん、企業、組織としての健康の取り組みは、やはり従業員にサービスを提供するだけではなく、会社の仕組みの中に組み込むことはもちろんすが、今回のニュースのように幅広い診療時間、全国どこからでも診療できるおオンライン診療を提供しているように、社員の働き方の課題にしっかりと対応するなど、使う側の従業員の悩みにしっかりと向き合った提供が必要だと、今回のニュースをみてあらためて感じました。
『mHealth Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
Comments are closed.