4月19~21日の3日間で開催された『ヘルスケアIT 2017』。2日目は「健康経営」、「ヘルスケア」をテーマとした3つのセミナープログラムが催されました。本レポートでは、盛況となったセミナーの模様をお送り致します。(取材:小松智幸)
■これからの健康経営を牽引するモバイルヘルス
株式会社スポルツ 渡辺武友(mHealth Watch)
mHealth Watchエディターでもある渡辺からは、海外のヘルスケアビジネス動向から、法人向け健康プログラムを提供する企業を紹介。法人向け健康プログラムを提供するのは、3つの分類として、民間保険会社、健康プログラム提供企業、独立系健康プログラム提供企業に分かれる傾向を挙げた。
なかでも『Virgin Pulse』、『Keas』の2サービスを挙げ、それぞれのサービスの移り変わり、提供プログラムの継続性の変化などを紹介。
一方、国内の取り組みとして、フジクラ社のアプローチを紹介し、次のプログラムへバトンを繋いだ。
■株式会社フジクラの健康経営による効果
株式会社フジクラ 浅野健一郎
先日掲載したインタビューにも登場いただいた浅野氏は、フジクラ社が取り組んできた健康経営推進とその効果を紹介。健康経営の視点として「個人の疾病制御(医療費)ではなく、個人の活力向上(業績向上)」にフォーカスし、2012年度の本格的な取り組み開始から2015年度までで売上1.4倍、営業利益5.1倍を記録したことを挙げた。
取り組みを振り返り、これまでに行なってきた社内企画や社内環境改善のアプローチなどを紹介。社内企画として実施した歩数イベントやノルディックウォーキング、自転車通勤促進イベントなどを挙げ、実施後の参加者の身体データの改善傾向を発表。イベントに参加した男性社員の効果例として、メタボリックシンドローム対象者の割合減少や生活習慣病の改善傾向なども紹介された。
一方、職場を働きやすい環境に変えるためには、フィジカルとメンタル、両方のアプローチが必要として、社内にトレーニングできる打ち合わせスペースや、オフィスにイスを用いない立ち作業などを導入し、職場環境の改善アプローチを紹介した。
現在、フジクラ社が行なおうとしている取り組みは、食堂をもっとくつろげる場所にすること。これまでの調査で男性の場合、早く食べる人は、体の状態が悪い傾向にあることがわかったため、くつろいでゆっくり食べられる環境を作ろうとしていることを紹介した。最後にフジクラ社の健康経営が目指すことは、「疾病、障害、年齢に関わらず、皆が誇りとやりがいを持って安心して、『活き活き』と働ける職場の実現」。その実現に必要なのは、「社内の信頼関係」と「就労環境」として締めくくった。
■動かない従業員を自ら行動させる! モバイルヘルスによる新たなアプローチ
モデレーター:渡辺武友、浅野健一郎
プレゼンター:ドコモ・ヘルスケア株式会社、帝人株式会社、ウェルネス・コミュニケーションズ株式会社、キーウェアソリューションズ株式会社、株式会社ウィット
モバイルヘルスを用いた企業向けの新しいアプローチとして、5人のプレゼンターが自社のヘルスケアサービスを紹介。
『フォトエット』
ドコモ・ヘルスケアからは戸田伸一氏が登壇、6月サービス開始予定の『フォトエット』を紹介。グループ内で食事写真を投稿し、専門家からのアドバイスを受けられる企業向けソーシャルダイエットサービス。
『ツーブリーズ』&『フミナーズ』
帝人からは濱崎洋一郎氏が登壇、睡眠力向上プログラム『Sleep Styles』を紹介。眠りにまつわるWebマガジン『フミナーズ』による情報配信や、寝つきをサポートするウェアラブルセンサー『ツーブリーズ』などを活用し、睡眠力アップにつながる生活習慣改善を目指すサービス。
『Re:Body』
ウェルネス・コミュニケーションからは大元伸一氏が登壇、NTTドコモ、伊藤忠商事とともに企画・開発を進めてきた健康管理・増進支援アプリ『Re:Body』を紹介。「ムーヴバンド3」と連携し、運動・食事を含む生活習慣改善をサポートするプログラムを提供するサービス。
『LifeRoute』
キーウェアソリューションズからは畠山和哉氏が登壇、『LifeRoute』を紹介。複数のデバイスからライフログを記録し、社内の全員参加型PDCAを目指す健康管理サポートサービス。
『ブレイン・コンディショニング』
ウィットからは天辰次郎氏が登壇、食事を改善することで仕事のパフォーマンスを上げる『ブレイン・コンディショニング』を紹介。企業向けに、生活習慣チェックやセミナー、パーソナルカウンセリングなどのサービスを用意。
以上、4時間半に渡るセミナーでしたが、募集時点で多くの聴講希望が集まり、注目のテーマとなりました。主に健康経営を自社で検討している方、健康経営のサービスを考えている方が集まり、熱心に聞き入る方が多かったのが印象的でした。
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