『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“2020年、ウェルネスプログラム4つの傾向”
毎年、従業員のウェルネス業界に新たなトレンドが生まれる。法人向け健康サービスを提供するMedikeeper社によると「2020年には4つの分野があり、そのすべてが従業員と会員の関与を促進することに焦点を当てたものになる」と考えている。
1) サイコグラフィック・プロファイリング
サイコグラフィック(心理学的)・プロフィール分析は、人の行動の裏にある動機を、性格の特徴を基に理解する方法である。ウェルネスプログラムに関しては、この情報を利用して、健康管理者は問題の当事者に最も行動を促しやすいように健康問題に取り組むことができる。
その人のサイコグラフィック・プロフィールに共鳴するような方法で情報を提供することにより、組織はウェルネスプログラムでの取り組みを増進させることができる。これはすべての人が同じメッセージを受け取る、従来のやり方とは違う。
性格のタイプを基にして従業員を絞り込むと、より多くの取り組みが見られる可能性が高まる。人々は一般的に5つのカテゴリーの一つにあてはまる―「自己達成者」、「バランス・シーカー(バランスを求める人)」、「プライオリティ・ジャグラー(優先事項を調整する人)」、「ディレクション・テイカー(指示を受ける人)」、「ウィルフル・エンデュアラー(頑なに我慢する人)」― これらは簡単な12の説明文による調査で決定できる。
「自己達成者」は課題を優先し、健康診断や集団検診で常に最新の情報を得て、先を見越して健康に注意する。
「バランス・シーカー」も健康維持については先を見越して行動するが、すべての選択肢を考慮にいれたいと考え、基本的に最大限の情報を探って選択する。
「プライオリティ・ジャグラー」は他の責任を負って忙しすぎるため、自分自身の健康に集中できないが、家族の健康は心配し、必要なケアは受けさせたいと思っている。
「ディレクション・テイカー」は、健康管理に特別な考え方は持っていないが、主治医や他の医療の専門家の指導を信頼しやすい。
「ウィルフル・エンデュアラー」は、現在の健康よりももっと重要な問題があると考え、絶対に必要になるまで医者へ行くのを避ける。
これらのプロフィールを理解すると、組織が個人をより良く理解する助けとなり、プログラムでの取り組みが促進されるように明確にターゲットを絞ることができる。
2) カスタマイズされた経験
健康管理者は、「トリガー」を作動させ、適切な情報が適切な人々に届いて、それらの人々にぴったり合った体験になるように計らい、取り組みを増進させることができる。
これらのトリガー(ユーザーが設定した健康リスク評価、生体測定情報、医療請求データ、個人の嗜好に接続する)を使用すると、組織はユーザーを適切な、関係のある情報源に導くことができまる。エクササイズや減量についての情報から、ストレス管理や心の健康まで、幅広い範囲に渡る。
要するに、ウェルネスのポータルは個人に合ったものにすべきである。例えば、もし従業員の中で喫煙する人がわずかな割合ならば、禁煙プログラムについての大量通知は送る必要がない。健康リスク評価で、禁煙する手助けを希望している人がいれば、禁煙指導に参加するプロンプトを送ると役に立つだろう。
3) プラットフォーム・トランプポイント・ソリューション
プラットフォームは、集団の健康を管理するための包括的な方法により、健康産業の強力なソリューションとして地位を確立しつつある。ユーザーが多数のアプリやウェブサイトにログインして、すべての健康管理情報を閲覧しなければならないポイント・ソリューション的なプログラムは、時間がかかり、方向性を決めるのも難しいが、プラットフォームはすべての情報を一か所に集め、個人の要求をより上手く満たすことができる。
健康診断、健康リスク評価、医療請求データから、ターゲットを絞ったコンテンツ、コンピューター化された指導、報奨と挑戦まで、プラットフォームは統合された一か所に健康データを表示し、ユーザーが健康管理にもっと関心を持ちやすくなるように導いていく。
企業などの環境でかつて一般的だったポイント・ソリューションは、組織内で一貫したユーザー体験を提供するソリューションに道を譲りつつある。
4) 筋骨格の健康
雇用者にとっての最大の医療コストの一つとして、筋骨格の健康がますます注目されている。これはよく肉体労働の仕事と関連付けられるが、内勤者も全く危険性がないわけではない。
けがから回復する方法に注意を向けるだけでなく、将来高額な治療につながるかもしれないけがや痛みの予防法を従業員に教育するのも重要である。そうするために必要なツールは、仕事によって様々で、例えば、内勤者はトラックのドライバーとは違ったストレッチ、エクサイズが必要になる。
このような情報をユーザーに提供する最善の方法の一つは、ウェルネス・ポータルを使用することだ。けがを防ぐエクササイズやストレッチを推奨し、また、テレヘルス(遠隔医療)・セッションを設定し、実際の療法士がけがの危険性を低めるために、自宅や事務所でやるべき運動をいろいろと勧めることができる。
記事原文はこちら(『HEALTHCARE FINANCE』2019年11月12日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
今回の記事、少し長いですが、米国の法人向け健康ビジネス・プレイヤーのコメントが紹介されることはあまりないので、ほぼすべてを掲載しました。その分、私のコメントは控えめにします。
4番目の「筋骨格」と言われるとわかりにくいですが、要は肩こり腰痛などの体の痛みのことです。米国ではご存知のように肩こりなどの概念がないので、筋骨格ケアなどと呼びます。
紹介された「ウェルネスプログラム4つの傾向」では、総じて個別性が重要であると伝えています。自発的に興味を持たせない限り、どんなに正しいことを伝えても取り入れてもらうことはできません。
Medikeeperの取組みを参考に、自社のサービス強化に役立ててください。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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