『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Sharecare、在宅医療プロバイダーCareLinxを6,500万ドルで買収”
Sharecareは、在宅医療プロバイダーCareLinx社の買収を約6,500万ドルで完了しました。
「CareLinxは過去10年間にわたり当社のプラットフォームを活用し、在宅ケアに携わる皆様が直面する課題に対応するお手伝いをするとともに、医療における貴重なリソースである看護師や介助士の給与アップや柔軟なスケジュールを実現する力を提供してきました」と、CareLinx設立者兼CEOのSherwin Sheik氏は述べた。
「当社はSharecareファミリーの一部になることで、Sharecareの既存の医療保険や大規模雇用主の顧客ベースを活用しスケール拡大を図るとともに、世界級のエンジニアとの取り組みを通じて運営効率向上、リテンションやエンゲージメントの改善、そして最終的にCareLinxの能力とネットワークをSharecareプラットフォームに完全に組み込むことが可能になります」
最近、特別買収目的とする会社との合併により上場を果たしたSharecareは、禁煙、減量、不安感の管理などを含む幅広いデジタルヘルスケア製品を提供している。CareLinxは食事提供、家事、運動その他のニーズを支援する在宅介護者を見つけるサービスを提供している。
Sharecareは上場後初の収益報告で買収のクロージングを発表した。前年同期の売上7,820万ドルに対し、6月30日締めの第2四半期の売上は9,850万ドルを計上した。
在宅ケアはヘルスケア市場で急成長しているセグメントである。Grand View Researchによるレポートでは、同業界は2020~2027年にかけて複合年間成長率7.9%の成長を遂げると予想している。労働統計局は在宅医療および個人介護者の雇用は2019~2029年にかけて「全職種平均よりずっと速いペースで」34%の成長を遂げると予測している。
国民が高齢化していく中、老後も自宅で過ごしたいという年配の人が増えている。2018年のAARPの調査によると、50歳以上のアメリカ人の76%が現在の自宅で過ごしたいと答え、77%ができるだけ長く現在暮らすコミュニティで生活したいと答えている。
記事原文はこちら(『mobihealthnews 』2021年8月13日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回は、後発ながら米国法人市場で最も大きな売上を出しているSharecareの動向について取り上げました。
Sharecareを立ち上げたJeff Arnold氏は、戦略的で、かつ的確に成果を出してきています。初期の段階ではRealAgeを取り込むことで、なかなか動いてくれない予防領域となるウェルネスプログラムで、多くの企業従業員を参加させることに成功しました。
さらに法人向けヘルスケアサービス、特にディジーズマネージメントプログラムで定評のあるHealthwaysを買収したことで、市場シェアを大きく伸ばしています。
その他にも、2020年には行動医療プラットフォームのMindSciences、医療機関が患者ケアにおけるニーズ対応のギャップを検知する公衆衛生・品質測定プラットフォームのVisualize Health、今年2月には健康AIプラットフォームのdoc.ai など、多くの買収を行ってきました。
今回買収したCareLinxは在宅医療プロバイダーです。今までがオンラインによる支援に留まっていたものが、リアルな支援にまで参入することになります。まさに「死角なし」な戦略となってきています。
Sharecareは闇雲に買収して大きくなっているのではなく、提供する市場の顧客にとって、次に必要なものを提案するスピードを早めるために買収をうまく活用しています。
Sharecareから学ぶことは多くありますので、ぜひベンチマークしてください。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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