去る12月15日、国際フォーラムにて厚生労働省主催の『データヘルス・予防サービス見本市2015』が開催されました。事前登録が5,000名を越す状況のため、開場後の10時過ぎの段階で、入場まで1時間半待ちという盛況ぶりでした。
mHealth Watchでは、午前のセミナーに参加し、筑波大学大学院の久野譜也教授による「健康づくり無関心層を動かすインセンティブと健康まちづくり」を取材したのでご紹介します。
『健康づくり無関心層を動かすインセンティブと健康まちづくり』
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 スポーツ医学専攻 久野譜也 教授
今回、久野氏は、多くの自治体で行なってきた実証実験の経過報告を発表。
まず紹介されたのは、「7:3の法則」について。生活習慣病の予防のために運動を実施する意思がないのが7割いる。この7割は「わかっている」のにできないのではなく、「知らない」からできない可能性が高い。そこにインセンティブがきっかけになるわけだが、この取り組みを気づいてもらい、興味を持ってもらう仕掛け(周知の徹底)が必要になる。そしてヘルスリテラシーを上げることが継続的な健康行動につながる。
また、興味を持ってもらい参加してもらったら、3ヵ月で実感を得られるプログラムが必要になる。
インセンティブの成果報酬の高低によって、成果は異なる。「取り組み続ければ」、もしくは「成果が出たら」インセンティブがもらえるものより、「努力に応じて」インセンティブが決まるものが伸び率が高い。
インセンティブは全国で使えるポイントなどより、地域で使える商品券の方が望ましく、地域還元する方が予算も組みやすい。また周知活動においても、地域の商店街で利用される可能性が高まるので、顧客に参加することを促してくれやすくなる。知ってもらったきっかけの上位は「口コミ」。どうやったら、その地域で「口コミ」を拡げるのかを考えていくことが大切だ。
取り組むプログラムも、興味を持ってもらう工夫が必要になる。女性向けには「美bodyコース」、男性には「ダンディーコース」などを用意してきた。
ICTの活用では、高齢者も参加するため、住民サポーターを参加者から育てるのが良い。ICTが苦手な高齢者も、サポーターに会うのを楽しみに参加してくる。
インセンティブだけでは、無関心層のすべてを動かすことはできない。無関心でも思わず歩いてしまうような都市環境を整備することが重要になってくる。
mHealth Watch取材(12月15日)
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