『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“健康スタートアップ企業が知っておくべきデジタルヘルスAPI”
今はなき『Google Health』と、現在でも運営中のライバル『Microsoft HealthVault』の双方は、2008年にAPIを重要な戦略の一部にした。しかし当時、時期尚早との見解を示し、さらに統合可能なAPIを持つパートナーを多く見つけられなかった。2011年、『RunKeeper』は『Health Graph』を発表。APIを使って健康とフィットネスに焦点を当て、『Facebook』のソーシャルグラフに似た体験を提供する試みだ。
RunKeeperのCEO Jason Jacobs氏は、「ユーザーの食習慣、トレーニングスケジュール、社会的相互作用、その他の要因の相関関係を明確にできるシステムを想像してください。それはユーザー自身の健康とフィットネスに関する過去のデータに基づいて実際に機能する、健康とフィットネスのアプリ、Webサイト、センサー付き装置をエコシステムにもたらします。健康グラフは、健康とフィットネスの展望を完全に変える可能性を秘めています」と、2011年当時のブログに投稿したが、現在は削除されている。
翌2012年にはふたつの大きなAPIの動きが見られた。Aetna社は開発者に「CarePass API」をオープンにし、『Nike+』は、ハッカソンと独自のアクセラレーターを介して、特に『Nike+』と統合する技術開発を行なう企業にAPIを提供した。Aetnaの『CarePass』はデータ共有の先導的存在としてスタートしたが、異なるアプリをまとめるダッシュボード以上に発展した。同アプリは、様々な健康とフィットネスアプリを徐々に追加し、つい最近では服薬遵守とストレスアプリも追加した。
Aetnaの『CarePass』プロダクトリーダーJesse Givens氏は昨年、「当社が開発者向けポータルを立ち上げた時は、開拓したデータ(過去に開拓されなかった総合リクエストデータ、またはリクエスト情報のトータルコストなどのデータ) は、開発者コミュニティーの間で炎のように人気が広がるという仮説を持っていたと思います。当社が発表した時、ユーザーはそれに興味を持ちましたが、当社メンバーや巨大なユーザーコミュニティーの目前にあるアプリを、どのように手に入れるかという議論に、より焦点が当てられていることに気が付きました」とMobiHealthNewsに語った。
『Nike+』の『Fuelband』は、常にそのブランドと独自開発の基準値「Nike Fuel」に力を注いでいる。アクセラレーターは、顧客がそれを使う様々な方法を開発するように説得することで、「Nike Fuel」のためにより多くの流通を得ることを目標としていた。同社は当時このように報告した。「Nikeは、求めているスタートアップのほんのひと握りの例を挙げました。アスリートの目標到達を支援するトレーニングやコーチングプログラム。『NikeFuel』を使ってユーザーに運動の楽しさを思い出させるゲーム。数百万の『Nike+』ランナーがより良く、より賢く運動するための動機づけを与えるツール。活動の達成と報酬を中心に構築されたプログラム。活動的で健康的な生活習慣を促進するウェルネスソリューション。友達に動機づけと挑戦を与えるソーシャルチャレンジ。そして、究極的に定量化している自己管理マニアのためのマスターダッシュボードなど…」。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』3月7日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
上記はmobihealthnewsに掲載されたヘルスケアに関するAPI活用の記事で、5ページに渡り、『Fitbit』や『Jawbone』などのウェアラブルデバイスから、『MapMyFitness』などのヘルスケアアプリ、またCignaやKaiser Permanenteなどの保険会社や製薬会社の取り組みが紹介されています。今回は1ページ目に記載されたものを紹介しました。モバイルヘルスに関わる皆さんには、ぜひ全ページに目を通していただきたい記事です。
ここ1~2年で、何度かのセミナーや企業個別面談時に、米国のオープンなAPI連携の例を紹介してきました。この話を聞いた多くの国内企業の方は、無料でデータ連携、しかも複数社としていることに驚かれていました。
国内では、データ連携することでお金がもらえる(支払う)ものと決めつけているところがあります。そのため、サービススタート時から連携による採算性が見えにくいこともあり、データ連携が実現していないのが現状です。
確かに連携するためには、時間や費用が必要なため、連携による収益が気になると思いますが、連携することで自社製品・サービスのウィークポイントを補えたり、ユーザーに長期利用してもらうためのフックになるなど、利点はかなり大きいのではないでしょうか。
海外のAPI連携から自社にとって有益な連携方法を見つけていくことは、今後ヘルスケアビジネスにおいて重要になってくると思われます。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器の研究を行ない、健康ビジネスメディア「ヘルスビズウォッチ」を中心に海外のトレンド情報などを発表している。
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