『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Facebookを活用した学生のためのダイエット”
カリフォルニア通信情報技術研究所の一部門、Center for Wireless and Population Health Systemsで研究者たちが行った、404人の学生を対象としたランダム化された統制試行実験によると、Facebookは、理論に基づいたダイエットコンテンツを大学生に向けて配信するのに効果的なメディアかもしれない。
Facebookは若年層の成人に人気があるため、研究者たちは、デジタルエンゲージメント戦略を試すメディアとして選んだのである。
学生たちは、3つの南カリフォルニアにある大学、カリフォルニア大学サンディエゴ校、サンディエゴ州立大学、そしてカリフォルニア州立大学サンマルコス校で募集された。試行実験に参加した学生たちの年齢は18~35歳で、BMIは25~40、そしてパソコンと、電子メールが使える携帯電話を所有し、Facebookアカウントを持っているか持つ予定だった者とした。
ヘルスコーチは、21ヵ月にわたるコースで8つの異なるキャンペーンをFacebookへの投稿を通じて行なった。研究者たちは、時間が経つにつれ、キャンペーンに関わる参加者たちの数が減っていることに注目した。
研究者たちは、実験で配信された1,816のFacebook投稿の73%が、 68.8%の介入参加者に、少なくとも一度は「いいね」されたことを見い出した。介入グループの参加者たちは、研究に特化したWebサイト、ブログ、アプリ、『Three Two Me』というFacebookページ、テキストメッセージサービス、ヘルスコーチを使った。一方、統制グループは、基本的な健康情報を提供する、『SMART Health Tools』という自己誘導式の教育プログラムにアクセスした。統制グループはこのプログラムにおいて、インタラクティブな読み物を受け取ることがほとんどなかった。この実験は2年間続いた。
研究者たちは、この研究のために大学の特定の層を選択した。というのは、大学生の3人にひとりが太り過ぎか病的肥満で、大抵の学生は在学中に平均して3.73kg太るからである。
「この時期の体重増加は、長期的な体重増加傾向を開始させうるものであり、タイプ2の糖尿病や冠動脈性心疾患、成人期のうつを進行させるリスクが大きくなる可能性がある」と、この研究の著者たちは書いている。「若年成人の体重増加はまた、低い自己満足感やアイデンティティーの喪失といった、心理的な苦痛とも関連している」。
加えて、研究者たちは、週に一度のキャンパス内カウンセリングセッションが必要となる研究に登録した大学生の半分以上が、3ヵ月後には辞めていること、また、このグループのほとんどが、やめたのは忙しかったためだと説明していることを見い出した。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』6月26日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
今回注目のニュースは“Facebookを活用した学生のためのダイエット”の研究についてです。
米国のヘルスケアニュースを中心に見ていると、稀に大学生や高校生などの若年層に向けた健康促進が話題になります。国内では、成人からを対象にすることが多いので、健康増進先進国の事例として参考になることも多いと思い、できるだけ紹介するようにしています。
今回のニュースでも、
「大学生の3人にひとりが太り過ぎや病的肥満で、大抵の学生は、在学中に平均して3.73kg太る」
「この時期の体重増加は、長期的な体重増加傾向を開始させうるものであり、タイプ2の糖尿病や、冠動脈性心疾患、成人期のうつを進行させるリスクが大きくなる可能性がある」
と研究者は指摘しています。
日本でも社会人になった途端、今までと生活(運動量)が変わったのに、食事の質や量が変わらないために、徐々に太っていきやすい、と言われています。これは学生の間に社会人になる準備のなかで“健康に対して取り組むべきこと”が欠けているためでもあります。
ストレスの多い金融系企業では、入社後すぐに生活改善に取り組む例が増えています。早い段階で気付きを与え、改善させることで、一番の働き盛りの年代になにかしらの疾病による入院を減らしていく取り組みとのことです。
しかし、徹夜してもピンピンしているような若い世代に、正論的な予防を伝えても取り組むのはごくわずかです。選定するツールだけでなく、どのようなアプローチなら受け入れられるのか? よく議論しトライを繰り返すことも必要になります。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器の研究を行ない、健康ビジネスメディア「ヘルスビズウォッチ」を中心に海外のトレンド情報などを発表している。
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