『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“私たちのウェアラブルが医師と話す時”
<健康な人にとっての誇大広告は少なく>
医師にとって、プラットフォームは患者の健康データにアクセスする点で新たな次元を切り開くものだが、それは個々の患者の同意なしには起こり得ない。Moor Insight & Strategyの主席アナリストPatrick Moorhead氏は、「もし、あなたの情報を他人に提供したくないのでしたら、提供する必要はありません。これは自己で処方する問題です。お望みになるか、ならないかのいずれかです」と述べている。
技術系企業は、すべての健康データの伝送が、HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act)のガイドラインに添うようにプラットフォームを設計している。各消費者・患者は、どの健康機関(医師、保険会社、研究所など)が、どのデータを見られるようにするか、決定する。
オプトインする人にとって、当初の変化はごくありふれたもののように思えるかもしれない。神経放射線学者であり、Mayo Clinicで広報マーケティングのディレクターを務めるJohn Wald博士によると、現行の『Mayo Clinic Patient』というiOSアプリを使えば、患者は予約状況にアクセスできるほか、医師にセキュリティーの高いメッセージを送り、研究室や撮像結果を入手できるが、今から9月までの間にMayoはAppleと協力して同アプリを改良し、患者が『HealthKit』データを自身の医療記録に送れるようにするという。
今年末までの第2フェイズ開始時において、Wald博士は「消費者は、『HealthKit』にある情報を入手でき、Mayo Clinicアプリを使用してグルコース、糖尿病、喘息その他の情報にアクセスできます。この情報は『HealthKit』で潜在的にモニターされ、これに含まれるものです」と述べている。患者はMayo Clinicで予約できるほか、Mayo ClinicのWebサイトやその他のデジタルプラットフォームにある医療情報にアクセスできる。
「そのため、これは私たちにとって次世代のものです。現患者の対応をするだけでなく、消費者を教育することができます」と述べている。
これはごく普通のことのように聞こえるかもしれないが、さらに心躍るトピックとして、医師が、患者の日常行動に伴う多くの必要事項を確認できる点。実際、特に症状がなければ患者が関心を寄せることはないだろう。医師はデータを破棄することはないにせよ、これを治験に持ってきたり、上記プラットフォームのひとつで事前に見られるよう患者に許可を与える場合、フィットネストラッカー所有者の半数が自分のデバイスを捨てたのと同じ理由で、医師はおそらく健康な患者にとっての情報に価値を見出さないだろう。
技術系調査会社Creative Strategiesの主席アナリストBen Bajarin氏は、「これを試してきましたが、概ね健康的かつ活動的で、こうしたものを目にしても、使用用途がありません。意味のある方法で私を変えることはありませんが、深刻な心臓病を患っていたり、1日に血圧を3時間毎に確認しなくてはいけないのなら、健康に劇的な影響を及ぼすため、ユニークな解決法となります」と、述べている。
<継続的なフィジカル>
現行のフィットネストラッカーが健康面でのビッグデータ革命において役割がない、というわけではない。糖尿病のような慢性病で、正しい食事やフィットネスの状態について人の相談に乗るような教育者は、こうしたトラッカーを使って患者を指導できる。トラッカーは、術後の患者が毎日しなくてはならないことを確認したいと思う整形外科にとっても有用となり得る。
Fitbitなどの企業はすでに、あらゆる組織に割引価格で自社のデバイスを販売する試みを行なっているが、従業員チームは、データを記録する人の数を競っている。データによると、労働者が前向きに動く場合、将来のグループ価格を引き下げることが示されている。Cigna Networkの一部であるHealthPartnersは、コーポレートプランの参加者にトラッカーと200ドルを提供している。その金額が提供されるのは、健康面での目標を1年で達成し、食事、フィットネス、課題への参加という組み合わせを達成した時である。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目のニュースは、ウェアラブルデータと医師との関係に関する記事です。
今回ご紹介するニュースでは、ウェアラブルデバイスのデータを通した医師、医療現場でのコミュニケーションに関して様々な事例や課題を紹介しています。 上記のニュースのご紹介では、その中の一部を抜粋して掲載していますので、 ニュース全文についてはこちらからご確認ください。
今回のニュースで、ウェアラブル機器のなかで日常の活動を記録するフィットネストラッカーからのデータ活用に関して、医師側としては慢性疾患患者の重症化予防という観点での活用を述べているの対して、疾患をまだ抱えていない、いわゆる健康的な人に対してのデータの活用については、まだ明確な使用価値を見出していないと述べています。
やはり、慢性疾患患者などの場合には、日常の活動を記録するフィットネストラッカーからのデータも、医療側としても必要なデータであり活用可能なデータとして位置づけられています。そこには、データの意味や活用目的が明確に存在するからです。
しかし、疾患をまだ抱えていない、いわゆる未病の人々の場合には、データの意味や活用目的が、ただ漠然とした「健康」であったり「予防」といったことになっているため、データの価値を見出すことができないのが、医療現場として正直な意見だと思います。
さて、医療現場でもまだ日常の活動を記録するフィットネストラッカーからのデータの活用方法に関して明確な使用価値を見出していない現状で、利用者である一般人がこのデータをどのように活用すべきなのか、この部分こそがフィットネストラッカーが継続利用につながらない大きな課題なのではないでしょうか。
現状では、フィットネストラッカーで計測したデータのグラフ表示などの見える化までは提供されていますが、そこから先のデータの活用方法については利用者側に委ねているのが実情だと思います。
フィットネストラッカーでの計測データやデータの記録サービスでは、利用者が自らデータから「気づき」を得られるかどうかが、その後の継続への分かれ道だと考えています。
そのため、押し付けのアドバイスではなくデータからの「気づき」をいかに与えられるかの工夫が、今後の予防領域でのデータの活用には重要だと感じています。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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