『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“錠剤服用を自動記録、医薬品パッケージの実証実験が始まる”
慢性疾患や退院後の自宅療養患者は、決まった時間に医薬品を服用しないと症状の悪化が顕著に現れる。特に臓器移植患者は、医薬品の服用を継続しないと拒絶反応を起こしてしまう。
患者が、自宅で医薬品を服用し忘れたり、過量服用をしたりしてしまうと、患者の状態が悪化するだけでなく、多大な経済的打撃を与えることにもなる。再入院を余儀なくされたり、症状が悪化して治癒が困難な状態となったりして、高額な治療費が必要となるからだ。スウェーデンだけでも、その経済損失は230億クローネ(1クローネは約15円)にも及ぶとの試算もある。
9月に実証実験開始
こうした課題に対応した医薬品パッケージソリューションの開発に取り組んでいるのが、スウェーデンMevia社である。錠剤服用の状況を自動で記録・モニタリングするソリューションだ。2014年7月にCEマークを取得し、同年9月から英国企業を相手に実証実験を始めた。
記事原文はこちら(『日経デジタルヘルス』10月9日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回の注目ニュースは、服薬管理に関する記事です。
慢性疾患の重症化予防に向け、服薬管理、飲み忘れ防止については以前からアプローチされてきており、最近ではmHealth領域でも服薬管理のアプローチを多く目にするようになってきました。
例えば、通信機能付き薬ケースなどがあります。
「GlowCaps」
現在、mHealth領域での服薬管理のアプローチは、すべて通信機能を備え、服薬状況のデータの共有はもちろん、薬の補充も連携可能なまでに進化してきています。
今回のニュースで紹介されているスウェーデンMevia社が開発に取り組んでいるのが、2次包装部分に細かい回路設計を施したプリント基板が貼り付けられた医薬品パッケージです。
既に、英国企業を相手に実証実験を始め、2015年夏の商用化を目指しており、この医薬品パッケージでの実現は、医薬品業界、特に製薬メーカーにとってはメリットがあるのではないかと感じています。
しかし、「服薬管理」ではやはり患者自身の病気への理解、治療への理解が必要不可欠です。
データによる「服薬管理」のみならず、やはり患者の病気への理解と、治療に対して主体的に参加させるための導き、すなわち医療従事者と患者さんとのコミュニケーションがもっとも重要なってきます。
この医療従事者と患者さんのコミュニケーションこそ、mHealthが担う役割ではないでしょうか?
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、主に健康系ウェブサイト、コンテンツなどの企画・制作・運営を担当。また『Health Biz Watch Academy』では、「mHealth」のセミナー講師として解説。(一財)生涯学習開発財団認定コーチ。
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