『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“ケーゲル(骨盤底筋)トラッカー『Elvie』”
同社は、女性の3人にひとりは、人生のどこかの段階で骨盤底筋の問題を経験する、と説明している。しかし、ケーゲルエクササイズでこの筋肉を鍛えると、コア部分が強化され、背中と腹部の力が向上するという。骨盤底筋肉が弱くなる理由として、妊娠、出産、肥満などが挙げられている。
女性が『Elvie』を身に着け、ケーゲルエクササイズをすると、運動データが対応アプリに送信される。アプリは実行されたエクササイズ量に基づき、ユーザーにスコアを掲示する。ユーザーは、スコア向上に向けてエクササイズに取り組んでいく。
『Elvie』は、技術面でのトラッキングもする。Chiaroの理学療法士Kay Crotty博士は、ユーザーの技術面での問題の例として、「エクササイズのなかで持ち上げるのではなく、押してしまうことがある」と説明している。このデバイスには動きセンサーがあり、間違った動きをするとアラートをユーザーに発する。また、このアプリはユーザーがスキル、力、抑制を行なうのに役立つ5分間の運動メニューも用意している。
端末価格は事前予約で95ドルだが、小売価格は155ドルとなる。Elvieは2015年3月の出荷を予定している。
記事原稿はこちら(『mobihealthnews』11月6日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
出産などをきっかけに、成人女性の多くが尿失禁(失禁症、尿漏れ)に悩まされています。日常生活に影響することなので、早急な改善を求められますが、現在一般的に有効とされている治療法が骨盤底筋訓練です。その骨盤底筋訓練をサポートするツールとして、英国の企業Chiaro社からウェアラブルデバイス『Elvie』が発表されました。
サポートツール(器具)はすでに多く発売されており、日本でも購入できるものもあります。しかし『Elvie』が注目されているのは、スマートフォンに連動することで、より効果的なトレーニングを行えるように使用状況を判断し、警告してくれたり、点数化してくれることです。
ウェアラブルデバイスとして『Elvie』が優れているのは
- ユーザーの目的(欲求、不満)が明確である
- すでに解決策(運動方法)がある
- しかし解決策を正確に実行し、継続するのが難しい
- それをサポートするためのデバイスとコンテンツ(スマホアプリ)である
以上の点が明確に整理され、サービス視点で提供されていることではないでしょうか?
さて、他のウェアラブルデバイスはどうでしょうか? なにをどのように解決するのか、明確にできていないものが多いように思えます。ユーザーが欲しいのは、計測できるカッコイイ機器ではなく、それを使うことで得られる喜びのはずです。改めて製品(現在の製品、これから立ち上げるものなど)の位置づけを整理してみてはいかがでしょうか。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器の研究を行ない、健康ビジネスメディア「ヘルスビズウォッチ」を中心に海外のトレンド情報などを発表している。
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