『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“英国NHS、『app stores』を再起動”
イギリスNational Health Service(以下NHS)は、「NHS health app library」の2年間にわたる試用を終了し、特定の疾病や症状を重視する『app stores』シリーズの提供を再開する計画だ。
NHSは、試用を始めた2013年5月、「NHS health app library」が重視するのは、記載されたアプリがイギリスに住む人にとって臨床的に安全で適していることを保証することである、と投稿している。
NHSイギリスのスポークスマンは、「2013年に試験的なサイトとして開始した、規定の基準に対してアプリを評価・推奨する『Health Apps Library』の更新に努めております。さらに、糖尿病、肥満の防止、妊娠、妊娠早期ケア、禁煙、COPDを含む、他の領域において臨床的に認証されたアプリを促進するための『app stores』シリーズを展開する予定です」と語った。
Computer Weeklyがは、試用期間終了の時期と並び、9月末に発表された「NHS health app library」の6ヵ月にわたる横断的な評価に注目すべきことがある、と指摘した。この調査により、アプリの大多数が利用者のデータを保護していないことが判明。例えば、インターネット上で個人識別情報を送信する35のアプリのうち66%が暗号化を利用しておらず、20%がプライバシーポリシーを有していなかった。
NIHは、「NHS health app library」の今後の計画説明で、National Information Boardがこの試用で得られた結果を利用し、より完全なアプリ評価モデルの新たな試用版を作成・開始するとした。
スポークスマンによると、これらのアプリストアは、より深い臨床基準に対してアプリやデジタル機器を評価する、3月に開始された「mental health apps library」の成功を基に作成される、と述べていた。
しかし、Evidence Based Mental Healthにある報告書が掲載され、うつや不安障害用のNHSライブラリにある14のアプリのうち、「患者と連携している」という科学的な証拠を示しているのは4つだけであり、臨床的な効果に関して適切に評価されているのは2つのみだった。研究者がこれらのアプリの評価を行なった時点で、「mental health apps library」は計27のアプリがあった。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』10月14日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
今回はNHSのオンライン健康情報サービスに関するものです。
NHS(英国の国民医療サービス事業)は、健康情報サービスとして「NHS choices」を運営しています。国営でありながら毎月4,000万人が利用するWebサービスです。
テキスト情報だけでなく映像コンテンツなど、いろいろなアプローチで健康情報を提供していますが、スマートフォンアプリの拡大を契機に「NHS health app library」という医療健康アプリを紹介、提供するサービスを2年前にスタートしました。現在はパイロット期間が終了し、閉鎖しているようです。
「NHS health app library」は、国が承認した医療健康アプリが紹介されたため、注目を集めてきました。我々が確認した当時、80種類程度のアプリが掲載されていました。
ただアプリを紹介するだけでは、利用促進につながらないものです。そこでNHSは今年3月より、メンタルヘルスに特化したアプリの紹介からオンラインサービス(ソリューション)まで踏まえた展開を行なってきました。「NHS health app library」のテストとして、メンタルヘルスへのアプローチは成果があったようで、新たに糖尿病、肥満の防止、妊娠、妊娠早期ケア、禁煙、COPDなど、疾患別の取り組み(テーマごとのアプリストア)を検討していることが、このニュースで紹介されています。
どのようなサービスになるのか、発表までしばらく待つ必要がありますが、まずは健康情報サービスとして、なぜ月次4,000万人が利用するサイトなのか、分析してみてはいかがでしょうか? きっとヒントがあるはずです。
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『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ITヘルスケア学会 モバイルヘルスシンポジウムで講演を行う。
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