『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“バーチャルリアリティゲームで血友病を抱える子供が点滴を乗り切りやすくする”
オハイオ州コロンバスにある全国的に有名な小児科病院で、血友病を抱えており、点滴など定期的に針を使用した治療を受けなければならない子供たちが、今では治療を受けることが楽しみにしている。
現在、この病院では、子供が怖がり痛がるような治療を受ける間、その注意を逸らすよう特別に設計したゲームを動かすバーチャルリアリティ(以下:VR)ヘッドセットを提供している。このヘッドセットでできるゲーム『Voxel Bay』は、現実に起きていることからできるだけ子供の注意を逸らすために、病院にて開発された。ゲームでペンギンや海賊の相手をしないといけないので、5歳児にとってはそちらの方が大事になるのだ。このゲームのコントロールは頭や目を動かしたり、深呼吸の動作で行なう。
VRゲームはすでに普及しているが、このプラットフォームは子供と関わる大人もバーチャル世界でなにが起きているのかわかるように設計されている。直ぐ近くに置いてあるタブレット画面を見ることで、臨床医は、ゲームの世界で起きていることについて子供と話すことができる。このヘッドセットは、スマートフォンをディスプレイとして利用し、段ボールが材料として使われているため、使い捨て可能。子供の間でばい菌などの感染を防ぐ。
現在『Voxel Bay』は、使うことによるメリットとVRが一般的に気を逸らす効果がどれだけあるかを測る研究の一環として行なわれている。少しでも子供と過ごした体験があれば、研究データの結果が素晴らしいものになることに疑問は生まれないだろう。
記事原文はこちら(『medGadget』2016年10月7日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点
今回の記事は、子供の視点で考えた素晴らしいものだと思います。辛い点滴を受けに診察室に行くのではなく、楽しいゲームができると思うと、子供たちはワクワクするのではないでしょうか!?
VRヘッドセットの利点は、視覚、聴覚共に密閉型にすることで、瞬時にゲーム環境に集中しやすくしてくれることです。これがオープン型ですと、針を刺される瞬間などが気になってゲームどころではなくなってしまいます。
記事では『Voxel Bay』の詳細はわかりませんでしたが、5才児が楽しめるような、わかりやすい設計がなされているのだと思います。このゲームでポイントになるのが、医師がゲームに夢中になっている子供を無視して治療するのではなく、ゲームの進捗を共有し、子供がより楽しめるようにコミュニケーションし、見えないところで肌に触れられる違和感や恐怖心などをうまく取り払うことができているところです。
VRのヘルスケアへの活用は、まだまだ事例が少ないです。見方を変えると、他が着手していない分、他社と差別化したアプローチができる可能性を秘めています。VRの活用、検討してみませんか?
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ITヘルスケア学会 モバイルヘルスシンポジウムで講演を行う。
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