『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“調査:企業従業員の健康とエンゲージメントにおける優先事項”
Virgin Pulse社が行なった、人事・総務の管理職600人を対象とした調査では、回答者の78%が健康はビジネス戦略における重要な要素であると考えており、現在87%が従業員エンゲージメント戦略の一環として、従業員の健康に投資している。もしくは投資を検討中である、と答えた。そして、97%が健康が従業員エンゲージメントを向上させると考えている。
「一般的に、従業員は会社の将来と文化に投資して仕事をしていると感じ、目的意識を感じ、同僚との良好な関係を抱いているように感じます。身体的、精神的、財政的、感情的な健康も従業員に影響を及ぼし、組織の大半はその結びつきを認識しています」と調査の著者はコメントした。
身体的、精神的健康を損なう高いストレスレベルは、生産性に悪影響を及ぼしかねない。米国では、病気や欠勤のために生産性が失われたことで、300億ドルも損失している。
しかし、回答者の88%がウェルネスとエンゲージメントプログラムの価値を認識しているが、提供するプログラムの種類と方法についてコンセンサスは取れていない。回答者の29%だけが、企業の特定のニーズに合わせて特定のエンゲージメントプログラムを実施するか、全体的な組織戦略に結びつく統合ソリューションを提供している、と回答している。
改善されない点として、“職場文化”が影響している可能性があるという。回答者の約半数(48%)は、新たな取り組みによる変化に対する抵抗心が、職場の健全性と就労プログラムを実施するうえでの主な障害となっている。
また、健康プログラムが導入されても、インセンティブだけでは従業員の取り組みへの参加が増えないため、組織はプログラムを監視し、進捗状況を測定する必要がある。
従業員エンゲージメントの向上プログラムを計画する際には、企業は、従業員の健康、職場文化、従業員エンゲージメントの3つが相互に影響し合っていることをまず認識する必要がある、とレポートは結論づけている。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2017年1月18日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
健康経営への取り組みが年々増加傾向にあり、毎月どこかの企業がモバイルを使った健康管理ツールを導入した話を目にすることがあるのではないでしょうか?
我々スポルツでも、企業の健康プログラムやツールの開発や運用に15年以上関わっていますが、この1年は特に多くなっている印象です。
米国は保険制度の違いもありますが、企業向けの健康支援は歴史もあります。しかし、今回の調査にあるように、多くの企業が価値あるプログラムを導入しているとは言えません。健診データや日々の活動データが見えるだけで健康になれる人は、かなりモチベーションが高く、データの活用ができる人です。
次のステップとしてインセンティブ(経済的:お金、モノ[報酬]の提供)の導入が多いですが、特に物理的インセンティブだけでは、インセンティブ提供期間しか行動に結びつきにくい傾向にあります。以前Virgin Pulse社は、インセンティブを軸にサービス提供していましたが、サービス提供後の健康行動定着率が低いため、サービスの方向転換をしています。
記事にある「組織はプログラムを監視し、進捗状況を測定する必要がある」とは、具体的にどのようなことか? この答えを持つところが、健康経営効果を出していくと言えるでしょう。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ITヘルスケア学会 モバイルヘルスシンポジウムで講演を行う。
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