『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“LVL Technologies、Samsungのファウンダーで650万ドルを取得し水分追跡ウェアラブルを構築”
テキサス州オースティンに本拠を置くLVL Technologies社(旧BSX Athletics)は、Samsung Catalyst FundのシリーズAラウンドで675万ドルを調達した。これにより総資金を9百万ドルになると推測される。
LVL Technologiesは、健康とフィットネスのウェアラブル開発に重点を置いているが、当社の製品は市場の既存企業の多くが扱っていない付加的な指標、つまり「水和」を追跡するウェアラブル『LVL One』を開発する。センサーはユーザーの血液中の水の含有量を測定するのに赤外線を使い、その後、デバイスはリアルタイムでユーザーに水分補給をするよう促す。
LVL Technologies社の創立者兼CEOのDustin Freckleton博士は、声明で「水は私たち全員にとって非常に重要な部分です。私たちの体は大部分が水でできていますが、適切な水分補給を助けることに関して、喉の乾きという私たちの内的な衝動は驚くほど粗末な仕事しかしません。これは多くの状態で現われます。頭痛から関節痛、運動パフォーマンスの低下、頭がぼーっとするなど他にもたくさんあります。こうしたことはすべて、よりよい水分補給習慣により改善できます」と述べた。
LVL Technologiesは、2013年に最初のアプリ「runBSX」を発売して以来、著しく発展してきた。当社はもともとパーソナル化したランニングのコーチングに重点を置いていた。2014年に当社は、運動選手のためのウェアラブル「BSX Insight」を発売した。これは乳酸の蓄積を追跡するもので、自分のトレーニングが、自分の限界に比べて、どれぐらいの強度なのかを知りたい運動選手にとっては役に立つ指標である。このウェアラブルはKickstarterで12万ドルを集めた。同社はこの製品が今なお、アメリカのオリンピック選手を含め、多くの持久力を必要とする運動選手に使用されている、としている。
LVL Technologiesは、『LVL One』で運動選手の枠を越えて、一般の人も興味を持つ消費者ウェアラブルを作り出すつもりだ。現在は参入が難しい市場だが、Samsungのような大手IT企業からの信任投票があれば期待の持てるスタートとなる。
Samsung Catalyst FundのマネージングディレクターShankar Chandranは、「Samsungでは、ウェアラブルがデジタルヘルスの次なる革新の波に導く助けとなると長い間信じている」と声明を発表した。
記事原文はこちら(『mhealthnews』2017年8月17日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
腕に巻くウェアラブルデバイスで、新たな試みが始まろうとしています。血液中の水の含有量を測定することで、適切な水分摂取を促し、水分不足から起こる多くの課題にアプローチする『LVL One』です。
製品も興味深いのですが、Samsungが粘り強くウェアラブルの可能性を模索していることが記事から想定されます。以前にも紹介していますが、Samsungはウェアラブルを活用したヘルスケア用のデバイスやサービスを、5年以上前からいくつか発表してきました。そんなSamsungが新たに可能性を感じているのが、この『LVL One』です。
水分不足に関して身近なところで考えると、夏場によく話題になるのが「脱水症」、「熱中症」です。気温が上がると、高齢者を中心に緊急搬送が増加します。今年は西日本を中心に猛暑が続いたため、わずか1週間で2,600名以上が搬送されたとのことです。
『LVL One』を使うことで熱中症予防になるのであれば、夏場の緊急搬送数を減らすことも可能になります。
多くの失敗も経験してきたSamsungだからこそ、なかなか良いデバイスに着目してきたと言えるのではないでしょうか。あとはサービスへの落とし込みに期待したいところです。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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