『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「
今回注目したニュースはこちら!
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“データ収集により健康意識の高い人の生命保険料を下げるHealth IQ、シリーズBとCラウンドで7,600万ドルを調達”
データ収集により健康意識の高い人が生命保険料を平均年1,238ドル節約することを可能にするHealth IQ社は、ベンチャーキャピタルで7,600万ドル(シリーズBラウンド+シリーズCラウンド)の追加資金を調達した。
同社はAndreessen HorowitzリードのシリーズCラウンドで3,460万ドルを獲得し、これまで未発表だったラウンドでも4,140万ドル(シリーズBラウンド)を調達していたことを明かした。資金調達額は合計8,100万ドル(シードラウンド+シリーズBラウンド+シリーズCラウンド)になった。
来年には歯科、長期治療、障害、がんなど他分野の医療保険へのサービス拡大を予定しているという。
設立者でCEOのMunjal Shah氏はVentureBeatのインタビューで、これまでたった22か月で「数万人に及ぶ人々」が生命保険契約で合計53億ドルの保障を確保する手助けをしたと述べている。
Shah氏は同社の具体的な収益率は公表していないが、2010年に1億2,000万ドルで Googleに売却したLikeをはじめとする、自身の会社で経験した中で最速の収益成長率を見せているという。
Health IQは、「ランニングやサイクリング、あるいはウエイトトレーニングを定期的に行っていることを証明できる人」など「健康意識の高い人」の定義を明確にすることで急成長を成し遂げたという。同社はそのような人々が健康的習慣に対する割引に積極的な保険会社からより有利な保険料と保障を得られるようにしている。
Health IQは、独自の健康テストの中で最も健康意識が高かった人の3年後の死亡率が、不健康な生活をしている人に比べて41%低かったことを発見した。
同社はこの死亡率のデータを予期せぬ形で発見した。3年以上前、Health IQは別のアイデア(健康FICOスコア作成のための血液検査の採用)に取り組む傍ら、健康にまつわるクイズをFacebookに投稿した。数週間で数千人がこのクイズに答え、まもなくその数は100万人に達した。この試みが興味深い結果をもたらす一方、数年後に不健康だった回答者が亡くなり始めるまで、このデータをどう利用するのかがはっきりしていなかった。そして彼らは最大規模の生命保険死亡率統計表を作り上げた。
その後、最も健康な回答者の生命保険料を引き下げるという新しいモデルを取り入れ、保険販売のSBLI、Ameritas、Assurityや再保険会社のSwiss Reなど複数の保険会社との契約を取り付けた。これらの保険会社はHealth IQの健康な対象者に10%の割引を設けているが、一般的な人に比べて最大40%増しで健康だと言える人と契約することを考えれば、保険会社にとっても良い話だ。
同社は30以上の保険会社による保険商品を提供し、4〜33%の保険料節約を可能にしている。
記事原文はこちら(『THE BRIDGE』2017年11月26日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回注目するニュースは、健康意識の高い人に向けて生命保険料を下げる仕組みを提供しているHealth IQに関してです。
Health IQは、既存の生命保険会社と提携して保険商品を販売し、その際に「健康意識の高い人」の定義のロジックをしっかりと作って、生命保険料を引き下げるという新しいモデルを提供しています。
日本国内でも、ウェアラブル機器を活用してデータを収集し、生命保険料を軽減する商品開発に保険会社各社が取り組んでいます。Health IQでは、保険料を軽減する指標である「健康意識の高い人」の定義として、「健康知識」と「健康行動」の両軸で設定しています。
健康経営領域でもよく使われるキーワードとして「ヘルスリテラシー」があります。この「ヘルスリテラシー」の「リテラシー」の本来の意味として、「知識」を「活用できる」まで含まれています。そういう意味でいうと「ヘルスリテラシー」とは、「健康知識」と「健康行動」がセットであるべきなのです。
しかし、行動を含めた「ヘルスリテラシー」では、一気に習得、向上することは難しいです。やはり、「知識を得て行動する」、そしてまた「知識を得て行動する」といった段階を経て身に付けて、レベルアップしていく必要があります。
Health IQの「健康意識の高い人」の定義である「健康知識」と「健康行動」両軸からのアプローチはヘルスケアサービスの基本だと、今回のニュースであらためて気が付きました。
Health IQでは、「健康知識」と「健康行動」を見える化する独自のロジックを現時点では保険料を下げることに組み入れていますが、もっともっと活用のは幅が拡がる可能性を秘めていると思います。
『mHeath Watch』編集委員 里見 将史
株式会社スポルツのディレクターとして、
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