『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Sensoria HealthとOptima Molliter、糖尿病患者のためのスマートフットウェアを共同開発”
モバイルテキスタイル企業Sensoria Health社(Sensoria Fitness社とGenesis Rehab Services社の戦略的パートナーシップ)と、糖尿病患者向けに動きやすい衣服を生産するOptima Molliter社が協力し、糖尿病患者の負荷解放のための機械的治療処方に役立つスマートフットウェアを開発中だ。
Sensoria Health設立者兼CEOのDavide Vigano氏は、MobiHealthNewsの取材に対し、「糖尿病患者向けフットウェア技術分野の技術と、Sensoria Coreマイクロエレクトロニクス技術を組み合わせ、足の切断リスク軽減に向けて臨床医と糖尿病患者を助けます」と伝えている。
Sensoria Healthが供給する『Motus Smart』は、米国ラスベガスで開催される「CES 2018」でお披露目の予定。声明によれば、このデバイスには圧力センサーとSensoriaが開発した複数の技術、さらに、Optima Molliterの臨床的に立証済み負荷解放システムが使われている。この負荷解放システムは、患者の負傷した足にかかる体重負荷と圧力を減らす。
Vigano氏は、声明で「足病学の総合指針によれば、糖尿病患者の足潰瘍の治療に負荷解放は欠かせません。Motus Smartは糖尿病による足の合併症に苦しむ人々の生活を改善するでしょう。Sensoriaの技術を使えば、医療提供者と臨床医は数多くの患者データにアクセスできるようになり、コンプライアンス状況を確認でき、足の切断が回避できなくなる前に介入できます」と述べている。
感染症、足の切断、潜在的な死を避けるため、臨床医は足の合併症を患う糖尿病患者に特別なフットウェアを処方する。フットウェアのなかには膝下から足部全体を覆うギプスタイプのものや、取り外し不可能なコンプライアンスシステムを装備したものもある。この類のフットウェアの着用は不快であり、患者が耐えられないこともある。その代用として、Motus SmartはテキストメッセージとWebダッシュボード経由でコミュニケーションを取り、臨床医にノンコンプライアンスであることを伝える。
Optima Molliterの研究開発部門マネージャーFranco Salvatelli氏は、声明で「患者のコンプライアンスと使用パターンを記録することで、足の切断のリスクを減らし、患者を管理する担当医師や医療センターに客観的データを提供します。使用パターン、歩行活動、患者の足への圧力のかかり具合に関する情報を与えることで、患者が負荷解放のための機械的な治療に従っているか、さらなる証拠を提供します」と述べている。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2018年1月4日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
ここ数年、最もモバイルヘルスの活用例、バリエーションが増えているのが糖尿病サポートです。昨年ロンドンで開催された「Diabetes Professional Care 2017」は今回で3回目となり、2日間に渡り糖尿病の予防、診断や関連する情報が提供されました。日本で12月に開催された「2017 Health 2.0 Asia – Japan」でも、糖尿病がテーマの1つとして取り上げられていました。
糖尿病におけるモバイルヘルスでの活用は、シンプルなものではスマホアプリを使った生活習慣記録から、スマートスピーカーを使ってAIが生活習慣の支援をするものなど、新たなアプローチもはじまっています。
糖尿病の初期段階で生活習慣の改善に取組むのが効果的と言われますが、糖尿病は痛みを伴わないため、ステージが進行し、合併症を併発する患者も多いのが実態です。その中でも「足潰瘍」は課題の1つで、早期に対応していかないと、足切断のリスクになります。
今回紹介した『Motus Smart』は、足潰瘍により負傷した足にかかる体重負荷と圧力を減らすことができるというものです。足潰瘍の治療中でも、これを使うことで普段の生活の助けになるだけでなく、医師によるコンプライアンスのチェックが可能となり、症状の進行を防ぐことに役立ちます。
日本でも足の状態をタブレットで撮影し、AI診断により1次判定を行い、忙しい医師の負担を軽減する『足ケアナビ』が「2017 Health 2.0 Asia – Japan」で紹介されました。
今後もモバイルヘルスを活用することで、糖尿病患者のステージ進行を抑えることに役立つ取組みが増えることは望ましい動きだと言えるでしょう。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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