『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Ava、妊娠中に感染の発症を検出するための臨床試験をスタート”
女性の月経周期をトラッキング可能なブレスレットを製造するAva社は、デバイス装着者の排卵日、また排卵の有無をより正確に追跡可能にするアップデートを行なったと公式に発表した。
Avaのブレスレットとアプリで収集されたデータは、排卵後のプロゲステロンの増加に伴って起こる皮膚の温度、脈拍数、その他のパラメーターの二相シフトを検出するために使用される。Avaによれば、このデバイスは温度のみに基づいてこれらのパターンを検出できるため、他のデバイスよりも優れているということだ。
AvaのCEO兼共同創設者Lea von Bidder氏は、声明で「今までのものとは大きな違いがあります。場合によってはこうしたパラメーターの変化は、体温から検出できない場合もあるのですが、Avaのアルゴリズムなら、プロゲステロンに関連した他のパラメーターも認識することが可能です」と述べている。
Avaのデバイスは、主に女性が自身の妊娠期間を把握し、妊娠の機会を最大限に活用するためのツールとされている(避妊を目的として使用することもできる)。月経周期がユーザーの健康にどのような影響を与えているかを伝えるための傾向の分析に加えて、Avaのデバイスは妊娠中の睡眠、ストレス、体重の増加をトラッキングすることで女性をサポートする。
この新しい機能は、女性が排卵日を特定しやすくする目的で設計されているが、排卵を伴わない無排卵月経を経験している女性にとっては、さらに有用なツールになり得るとAvaは述べている。
von Bidder氏は、「Avaのユーザーは妊娠可能な時期がいつなのかだけでなく、排卵があったのかを知りたい人が多いため、この新機能は大きな需要を満たすことになると考えています」とコメントした。
またAvaは、ブレスレットを使用して着用者の妊娠中の女性の感染症の発症を検出する、新しい臨床試験を開始したことを発表した。この研究は、Brigitte Leeners博士らがチューリッヒ大学病院で、前期破水(PPROM)により入院している50人の女性を対象に、デバイスを使用して行なうものだ。Leeners博士の研究グループは、妊娠中の感染を検出するために必要なパターンを特定するために、破水と感染の間の24時間のデータ分析を行なうとAvaは述べている。
研究開発部門副代表Peter Stein氏は、「今回の研究により、合併症のスクリーニングが可能な妊娠モニタリングサービスをユーザーに提供できるAvaの開発が進み、早急に重大な感染状況を特定するチャンスを大幅に増やすことができるかもしれません。今回の研究は、真に女性のQOLを向上させ、場合によっては女性の命を救うことになる技術の開発に向かっての、さらに大きな一歩になると考えています」と述べた。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2018年1月31日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
妊娠をモバイルヘルスにて支援するAva社は、妊娠の成立および継続にかかせない女性ホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)に関連したパラメーターを認識できるようになったことで、より精度を高めて妊娠に結びつけるようになりました。
また、新たな臨床試験として始めたのが、妊娠による体へのリスク(感染症)を軽減するための取組みです。
これらの組み合わせによりAvaは、妊娠の達成率を高め、妊娠したことによる「喜び」を手に入れるだけでなく、妊娠したことで起こりうるリスクを回避する「安心」までを提供できるソリューションになってきました。
目的達成による「喜び」とその先の「安心」の組み合わせは、その他のヘルスケアサービスでも応用できる、学ぶべきものではないかと思います。
妊活は、お手軽なアプリでの自己管理から医学的支援まで幅広くありますが、アプリでは物足りない、次のステップに進んで、より達成率を高め、かつ安全を求める人たちにとって、Avaは新たな選択肢になってきたようです。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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