『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Amazon、糖尿病、心臓血管疾患に焦点を当てた医療機器ブランドを立ち上げへ”
Amazonと提携しているブランドコンサルタント会社Arcadia Groupの発表によると、医療分野におけるAmazonの次の展開は、消費者が自らの糖尿病や心血管疾患を管理するための支援であると伝えた。
両社は「Choice」ブランドと呼ばれる、デジタルに重点を置いた消費者向け医療機器の独自のラインを新しく発足させた。専用のアプリで血糖値と血圧をモニターする機能と合わせて、新ブランドの販売を開始する計画だ。
アプリは、患者の測定値やデータを追跡する機能を有している。 例えば『Choice Blood Pressure Monitor』は、アプリに無線で接続し、ユーザーにグラフを表示したり、ユーザーが測定値を共有できるようにしたりすることができる。ブランドが出した声明によると、製品ラインには、スタンダードモデルとBluetooth対応デバイスが含まれる。
このプロジェクトは、Amazonがオンライン調剤薬局のPillPackを買収し、処方薬にまでサービスを拡大することができるようになってから、わずか数か月後の出来事である。
昨年の最も大きいAmazon関連のニュースは、AmazonがBerkshire HathawayとJPMorganと行った取引に関するものである。この取引において、三つの大企業は、ユーザー満足度を増加させ、コストを削減するために、テクノロジーに重点を置いた非営利目的の医療会社を設立することに合意した。
パートナー企業は、6月に、Brigham and Women’s病院の外科医であり、Harvard’s T.H. Chan公衆衛生大学院の教授でもある、Atul Gawande医師をCEOに任命した。また、非営利団体はボストンを拠点とすることを発表した。
「Choiceブランドは、簡単に手に入るウェルネスがすべてです。 お客様は、医療機器や医療品を購入するために、店舗まで車を走らせ、列に並ぶ必要はもうありません」とArcadia GroupのCEOであるBob Guest氏は声明の中で述べた。「これからのお客様は、自宅から出ることなく、好きな商品をレビューし、比較し、購入することができます。保険は必要ありません。そのため、お客様には選択の自由があります。もはや、購入してよいブランドついて、保険会社に指図されることはありません。選択とは、自由なのです」
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2018年10月26日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
Amazonによる医療への進出が加速しています。薬などのモノの販売から、ついに患者データの管理へと幅を広げてきました。
今回紹介する「Choice」ブランドは、血糖値と血圧がそれぞれ別に計測できる機器が購入できることと、それに連動するアプリが提供されています。
これ自体は技術的にも特に新しいものではないでしょう。Amazonは技術的な革新よりも、購入の利便性を高めることに注力しているようです。Guest氏のコメントからも、米国市場特有の医療品購入の流れにメスを入れたいようです。
日本と米国の医療保険における保険を利用した医療品購入の大きな違いは、日本の場合、主治医が勧める特定のものを買う、もしくは必要な機能が備わったものを自由に選ぶことができますが、米国の場合、自分が契約している保険(契約内容)で購入可能なものを買うことになります。保険の契約内容次第ですが、米国の方が選択肢が少ない場合があります。
今回のGuest氏のコメントからは、どのように自由な選択が可能になるのかはわかりません。保険を使わなくても低額で購入できるのか? 保険を使う場合、どの保険契約でも対応する仕組があるのか? 今後の展開が楽しみです。
生活習慣病にスポットを当てるなら、次に待っているのが継続させる仕組です。Amazonが得意とする販売を活用するのか? サービスを組み込むのか? こちらの動向も注目です。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器、ビジネスモデルの研究を行ない、健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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