『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
============================================
“GoogleがFitbitを約2,300億円で買収”
噂は本当だった。GoogleがFitbitの買収を計画しているという噂が流れた1週間後、Googleのデバイス担当シニアバイスプレジデントのRick Osterloh氏のブログ投稿の中で、両社はこの買収を認めた。この合意は最終的に双方にとって有益となる可能性がある。Googleはウェアラブル分野でシェアを獲得するのに苦戦しており、同社は腕時計メーカーのFossilから数多くの知的財産を4,000万ドル(約43億円)で購入していた。
Fitbitもここ数年、成長を維持するのに苦労している。同社は手首に装着するヘルストラッカー市場を開拓し、その後大きなシェアを得たが、最終的に市場を支配するスマートウォッチ市場の成長とともに苦戦していた。この分野への参入は遅かったがFitbitはPebble、Vector、Coinを買収したことで『Versa』スマートウォッチで成功を収め、現在はヘルスケア分野に注力している。
Osterloh氏は次のように付け加えている。「ここ数年、GoogleはWear OSとGoogle Fitによってこの分野のパートナーと進歩を遂げてきたが、我々はWear OSへとさらに投資し、Made by Googleのウェアラブルデバイスを市場に投入する機会を見出している。Fitbitは業界の真のパイオニアであり、魅力的な製品、体験、そして活気あるユーザーコミュニティを生み出してきた。Fitbitの専門家によるチームと緊密に協力し、最高のAI(人工知能)、ソフトウェア、ハードウェアを組み合わせることで、我々はウェアラブル分野でのイノベーションを加速し、世界中のより多くの人々に恩恵をもたらす製品を作ることができる」
記事原文はこちら(『techcrunch』2019年11月2日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
============================================
『mHealth Watch』の視点!
すでに皆さんご存知ですね!? FitbitがGoogleに買収されました。健康ビジネス業界としては今年最大のトピックスかもしれませんが、個人的には少々残念です。
Googleが今後どうしていくかは具体的には発表していませんが、各メディアによる予測はほぼ同じで、「まあ、そうなんだろうな」と言ったところでしょうか。
今回は冒頭に書きました“個人的には少々残念”についてお話しします。やはり一番は、ヘルスケアからGoogleやAppleに肩を並べる存在が出て欲しかった。そこに最も近かったのがFitbitだったと思います。
2008年からスタートしたmHealthのムーブメントの最大の牽引役はFitbitでした。一時はウェアラブル市場の7割を締めるほどの勢いでした。
そのFitbitが失速してきたのがここ3、4年です。スマートウォッチ開発の出遅れ、BtoB市場での収益性低下などが要因となりました。しかし、スマートウォッチにおいては『Versa』での巻き返し、BtoB市場ではサービスに注力した展開にて、復活の兆しは感じられるも、以前の勢いまでにはもう少し時間がかかりそうな状況でした。
Fitbitを長年見てきて歯がゆいと思っていたのが、ユーザーの成功体験を支えるサービス体制の弱さです。ここで言うサービスとは、1つのプログラムに留まるものではなく、ユーザーの成長に合わせて寄り添い、永続的な価値を共有しつづけるような、ブランディングとしてのサービスです。ここが弱いため、せっかく使い続けているユーザーが買い替えのタイミングなどに、他社商品と比較しやすい状況にしてしまい、よい関係を作ってきたユーザーを逃してしまっているのだと思います。
現在、mHealthムーブメント以降で最も躍進したのはPelotonです。PelotonはFitbitのように機器を扱っていますが、Fitbitが機器に軸足を置いているのに対し、Pelotonはサービスに軸を置いています。健康ビジネスを展開する以上、広義な意味においてサービスを軸に置かないと、GoogleやAppleに肩を並べる存在にまでなることはできない。とまでいい切ってよいと思います。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
Comments are closed.