シンガポールのNanyang工科大学(NTUシンガポール)における研究で、自殺予防とうつ病管理のためのほとんど(93%)のモバイルアプリが、国際的な臨床ガイドラインに共通して推奨されている6つの自殺予防戦略のすべてを提供していないことがわかった。
英国、米国、そして世界保健機関(WHO)の国際ガイドラインは、自殺を防ぐためのエビデンスに基づく6つの戦略を推奨している。心的状態と自殺思考の追跡、安全計画の作成、自殺思考を抑止する活動の推奨、自殺傾向の兆候に関する情報と教育記事、支援ネットワークへのアクセス、緊急カウンセリングの6つである。
AppleのApp StoreとGoogle Playにおける健康アプリの体系的な評価を通じて、Lee Kong Chian医科大学のJosip Car准教授率いるチームは、英国、米国、そしてWHOの国際ガイドラインで提示されている自殺予防のための一連の戦略が提供しているのは、対象アプリの10個に1個未満であることを発見した。
ほとんどのアプリには、少なくとも3つの自殺予防のアプローチが含まれていた。最も多かったのは緊急連絡先情報(テストしたアプリの94%)、危機ヘルプラインへの直接アクセス(67%)、自殺関連教育(51%)の3つである。
また、世界中で利用可能な複数のアプリにおいて誤った緊急電話番号が見つかった。 誤った情報を提供するアプリのうち2つは、それぞれ100万回以上ダウンロードされている。
App StoreとGoogle Playには現在、世界中で約318,000のヘルスケアアプリがあり、そのうち10,000以上がメンタルヘルス・アプリである。デジタル・メンタルヘルスの介入が実際の訪問に代わる有望な選択肢を提供しているように見えるが、研究者たちは、購入・利用可能なアプリのほとんどが臨床試験や規制機関によって評価されていないことを発見した。
この調査では、NTU主導のチームが、App StoreとGoogle Playでの体系的な検索を通して提供された69個のアプリを調査した。20個はうつ病管理アプリ、46個は自殺予防アプリで、69個のうち、3つのアプリがその両方の状態をカバーするものだった。アプリは、それらを説明するキーワードに基づいて識別され、ターゲットとされるユーザー、および自殺未遂を防ぐためのアドバイスの提供などを含む一連の基準により選択された。その後、研究者たちは国際ガイドラインで述べられている臨床戦略に基づき、50の基準に基づく質問を使ってアプリを評価した。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2020年1月2日掲載)
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