『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“『Apple Watch』が無症状のうちに新型コロナ感染が検出できるかもしれないとの研究報告”
『Apple Watch』や「Fitbit」などスマートウォッチにより、新型コロナウィルス感染症の症状が現われる数日前に感染が検出できるかもしれないとの研究結果が報告された。
米マウントサイナイ医科大学の研究者によれば、『Apple Watch』により症状が現われるか検査を受ける数日前に新型コロナ感染を予測できるとのこと。その指標は「心拍変動」(Heart Rate Variability=HRV/心拍間隔の周期的な変動)であり、免疫システムがどのように働いているかを測るいい尺度だと語られた。
なぜなら「炎症が体内で発生するにつれて心拍変動が変化することは分かっているから」とのこと。新型コロナは信じられないほどの炎症を引き起こしているため、気づかないうちに感染していることを予測できる目安となる。
新型コロナに感染している人は心拍変動が陰性の人よりも低い、すなわち心拍の時間当たりの変動が少なくなると明らかになっているそう。心拍変動が高いということは心拍数が上昇しているのではなく、神経系が活発で適応力があり、ストレスに対して回復力があることを示しており、逆に低いときはそれらが失われている模様だ。
また米スタンフォード大学の別の研究でも、『Apple Watch』や「Fitbit」、「Garmin」など複数メーカーのフィットネストラッカーを活用した結果が発表されている。それによると参加者のうち新型コロナ陽性者の81%が、発症する9日半前までに安静時心拍数の変化を経験していたとのこと。
この研究に当たったマイケル・スナイダー教授は、スマートウォッチによる検出が新型コロナ検査の欠点をいくらか補うのに役立つ可能性があると指摘している。すなわち「問題は人はがいつも検査できるわけではないことですが、これらデバイスは24時間365日測定できます。スマートウォッチはリアルタイムですぐにデータを返し、運が良ければ数日後には検査結果が返ってくる」と述べた。
記事原文はこちら(『engadget Japanese』2021年1月16日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
今回紹介された研究結果、スマートウォッチやフィットネストラッカーを使ったデジタルヘルスの新たな価値の発見だと言えるのではないでしょうか!?
スマートウォッチやフィットネストラッカーを付けているだけで、新型コロナの予兆がつかめる(決して診断ができるものではなく)だけでも、ほんの少しですが、安心感が得られます。これは大きな効果だと思います。
コロナ禍において、スマートウォッチやフィットネストラッカーの売上が伸びました。その理由は、目の前に迫った危機により、今まで以上に健康管理へ意識が向いたためです。
ただしスマートウォッチを付けているだけで健康管理ができるわけではありません。健康を維持するための行動は自らしなければなりません。これらウェアラブルは主には行動の見える化を支援するものです。ある程度健康管理へのリテラシーがある人ならそれで十分ですが、危機感を感じて、今回はじめて
「健康管理をしてみよう。まずはウェアラブルを買うところからはじめよう」
このように考えた人には敷居が高い可能性があります。買ったはよいが、すでに使うのを止めた人もいるでしょう。
しかし、今回の研究結果のように、自分の行動が新型コロナ感染リスクを低減させるのに役立っていると評価できれば、一度止めた人も、再度使ってみようと思うかもしれません。
今後もスマートウォッチやフィットネストラッカーの新たな可能性を発見していくことは、健康行動継続に大きく貢献していくでしょう。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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