『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Teladocの収益から見る4つのポイント”
ニューヨークに拠点を置く遠隔医療企業Teladocは昨年、収益をほぼ倍増させ、総額10億ドルをもたらした。2020年には有料会員数が41%増の5,180万人となり、より多くの健康保険がこのサービスをその対象に含めている。さらに2,100万人が遠隔医療による診療を利用するために料金を支払った。
昨年はプラットフォーム上で合計1,270件の診療を提供し、2019年と比較して驚異的な206%増となったが、多くの診療所が対面診療に戻り、他の企業が独自の遠隔医療プラットフォームを立ち上げている今、Teladocもまた、より多くの競争に直面している。
Teladocの決算報告書から4つのポイントを紹介する。
大きな成長を遂げた1年間の後、会員数と診療数の予測が平坦化
2021年末の有料会員数の増加を、昨年よりも大幅に少ない5,200万~5,400万人と予測している。また、総診療件数は1,200万件から1,300万件と、2020年とほぼ同数になると予想している。
これらの予測により株価は9%下落したが、Teladocは一次医療のパイロットや最近のLivongoの買収など、長期的な成長計画を共有している。また、会員の応募が昨年の同時期と比べて50%増加しており、アナリストもこれらの機会について指摘している。
一次医療のパイロットプログラムをテスト
パンデミックの影響のひとつに、人々が遠隔医療を緊急治療の診療以上のものとして考えるようになったということがある。保険会社が仮想一次医療を中心とした新しいプランをテストする中、Teladocも一次医療サービスをのパイロットを実施している。
『Primary360』と呼ばれるこのシステムは、一次医療の医師、看護師やケア・コーディネーターなどの仮想医療チームと患者をつなぐものである。Teladocによると、複数の新しいパートナー(名前は明かしていない)が、計画のパイロットを開始したということだが、Aetnaがそのうちの一社のようである。
Teladocは、将来的には、保険会社とのリスク分担合意を締結することを最終目標としているため、仮想一次医療プランの品質測定基準をさらに追加する予定である。
Livongoについて
Teladocは昨年、Livongoを185億ドルで買収した。これにより、2020年の合併に関連した統合関連費用が約8,800万ドル、繰り上げ株式報奨に関わる費用が3億3,170万ドルとなった。
これまでのところ、TeladocとLivongoは十数件の抱き合わせ販売を行っており、その機会は2022年には拡大されると述べている。
専門家の診療、特にメンタルヘルス診療が大幅に増加
他の同業他社と同様に、Teladocではメンタルヘルス診療の需要が急増しており、昨年は500%増となっている。他の専門家への診療需要も増加している、とMala Murthy最高財務責任者(CFO)は話している。
自律的な認知行動療法モジュールを提供するLivongoの『MyStrength』プラットフォームと、Teladocを介した仮想診療への利用を組み合わせたメンタルヘルス向け製品を構築する機会を見出していると付け加えられた。
記事原文はこちら(『MedCity News 』2021年2月26日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
以前から米国ではテレヘルス(遠隔医療)の市場導入が進んでいましたが、COVID-19により需要が急増大しました。その代表的な企業の1つがTeladocです。
Teladocが今後どのような方向に舵を切るのか、注目を集めている中、今回のような記事が登場しました。
注目は2つあります。1つは昨年大型買収したLivongoをどう活かすのか?もう1つがメンタルヘルスへのアプローチです。
どちらも、今後どんなことが行われるのかは、まだ明確に提示はされていませんが、患者の改善支援にLivongoによる継続支援の仕組みが中心となることが伺えます。
シンプルにヘルスケアにおける価値は、患者が改善することです。
テレヘルスにより、パンデミック化でも治療が受けやすくなる利便性は提供できますが、便利になったのは診療を受ける仕組みであって、患者が日々の生活習慣を率先して改善するとまでは言えません。
患者が自ら改善行動をしたくなる。挫折しそうになる気持ちを支えてくれる取組みが、今後のテレヘルスからの発展では欠かせません。
TeladocがLivongoの仕組みを活用し、どのように展開していくのか、注目していくべきと思っています。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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