『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Fitbit、スマートウォッチの血圧追跡調査を開始”
Fitbitのブログ記事によると、同社は最新の研究活動に向けて準備を進めており、今回はスマートウォッチで従来のアームカフ方式を用いずに血圧を測定する方法に焦点を当てているようだ。
今月から、米国のFitbit Senseユーザーで20歳以上を対象に、この研究に参加できる。この研究では、血圧の測定に脈到達時間(PAT)をどのように利用できるかを調べるという。
PATは、心拍後に血液の脈が手首に到達するまでの時間である。Fitbit Labsの過去の研究では、PATは血圧と相関があることがわかっていたが、今回の研究では、その知見をより幅広い層に広げることができると同社は発表した。
米国疾病管理予防センターによると、米国の成人の約半数(45%)が高血圧であるとされる。 高血圧は、心臓病や脳卒中を引き起こす可能性がある。2018年には50万人もの死亡者が、この症状を主因または一因としている。
近年、従来のアームカフリーダーから、リモートの連続監視装置やウェアラブルへの移行が進んでいる。International Journal of Preventive Medicine誌に掲載された研究によると、この動きは、サイズの合わないバンド、不適切な腕の位置、医療現場にいることによる患者のストレスの高まりなどが原因で起こる、血圧測定の一般的なエラーにより拍車がかかっている。
Fitbitの主席研究員で、研究の責任者であるShelten Yuen氏は、「高血圧の測定がより簡単になれば、人々はより早い段階で血圧を管理することができ、心臓病や脳卒中による予防可能な死亡を避けることができるかもしれません。科学的に難しい課題であり、最適な方法を導き出すためには多くの作業が必要ですが、私達には、これまでアクセスできなかった健康指標をFitbitユーザーが手首から利用できるようにするために技術を進歩させてきた歴史がありますので、この課題の解決には非常に情熱を持って取り組んでいます」と述べた。
Journal of Clinical Medicine誌によると、PATを使った血圧推定の有効性に関する過去の研究は、主に小規模な同種の被験者プールで行われてきた。しかし、同誌に掲載された600万回以上の心拍数を含む研究では、PATが血圧と相関することが示されている。
記事原文はこちら(『mobihealthnews 』2021年4月8日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
ここ1、2年、ウェアラブルデバイスで計測できる項目が増えてきています。少し前までは心拍数を取ることも難しいと言われていましたが、スマートウォッチではすでに当たり前の機能となり、今では心電図や血中酸素濃度など、医療領域のものまで標準で備わってきています。
血圧をウェアラブルデバイスで測ろうとする動きも活発になってきました。オムロン ヘルスケアは米国FDAで認可を得てから日本でも発売をはじめました。スイスのAktiia社はヨーロッパでCEマークを取得しました。Samsungはスマートウォッチの血圧と心電図のモニタリング機能を、新たに31カ国で展開する許可を得ました。
もちろん、精度は担保されているのか?医療として使ってよいのか?など、使用上の問題はありますが、まずは腕時計として装着しているだけで、これらの情報が取得できる環境になってきたことは喜ばしいことだと言えます。
大切なのは、これら利便性を高めた機能をどう活かすか?です。
「便利になったのだから、あとはユーザー(患者)が自己管理してね」との考え方では足りません。それは少々横暴な物言いです。
ユーザー(患者)は症状の改善をしたいと思っていますが、常に不安を感じているのです。データを管理することでいつ治るのか?そこまで言ってくれなければ、自己管理はできません。
しかし、データを管理したことでいつ治るなどは言うことはできませんね!?「常に感じる不安をどう和らげる・解消する」ことまでが健康課題解決に必要になるのです。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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