『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Liva Healthcare、ヒューマンコーチングプログラムをドイツ市場へ拡大を発表”
デンマークのコペンハーゲンとイギリスのロンドンを拠点とするヘルステック企業であるLiva Healthcare社は、2型糖尿病、肥満、心血管疾患などの状態の管理を支援するために、ドイツに「ヒューマンコーチングプログラム」を導入すると発表した。
ドイツはLiva Healthcareの9番目の市場であり、同社はベルリンにオフィスを開設することを計画している。Liva Healthcareはすでに英国、オーストラリア、アイルランド、オランダ、ベルギー、スペイン、デンマーク、スウェーデンで運用している。
ドイツの成人の半数以上は、1年前に比べると運動量が減少し、さらに同じ期間内に肥満の人の体重が平均で7.2kgも増加していたことが、ミュンヘン工科大学が新たに発表した調査結果から判明した。そしてこの調査結果から、今回の構想が生み出された。
2型糖尿病の原因として最も一般的なのは、肥満や運動不足なライフスタイルの2つ。そればかりか、ドイツでは950万人以上の人が糖尿病を患っていることが国際糖尿病連盟の最新の発表で明らかにされた。
Liva Healthcareの「ヒューマンコーチングプログラム」は、積極的な行動パターンを促進させることにより、ドイツの人々が自分の状態を管理し、より健康的な生活習慣を身につけることを目的とする。
4月にLiva HealthcareとAmgen社は、心臓病からのリハビリへのアクセスを改善する目的で提携した。この2社は、デジタル遠隔リハビリ用のプラットフォームを共同開発にあたり、EU(欧州連合)の機関との連合体制による支援を受けている。
記事原文はこちら(『mobihealthnews 』2021年6月24日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
mHealth Watchの海外ニュースの多くは北米圏が中心となっています。ヘルスケアに関して、米国は民間保険が中心ですが、ヨーロッパなど国が保健管理をしている場合もあるため、競争による活発な動きが見られるのは米国のためでしょう。
ドイツがデジタルヘルスのニュースに登場することはほぼなかったわけですが、現在ドイツはデジタルセラピューティクス導入に力を入れています。臨床研究により安全性と一定の有効性をもとに承認、保険償還することで上市させ、さらに上市後に実臨床データで有効性を評価し、必要であればすぐに改善していけるような制度が導入されました。このように、デジタルヘルスを本格的に導入するためには、大胆な規制改革も必要になってきます。
今回紹介のLiva Healthcareによる取組みは「ヒューマンコーチングプログラム」、つまり人によるサポートです。
もちろんアナログにとのことではなく、デジタルをフルに活用した取組みです。この動きはすでに米国でも大きな注目が集まり、多くの投資が集まっている分野です。
デジタルセラピューティクスは、単に“飲み薬がデジタルに置き換わります”と言うものではないですね。薬を飲んでもらうため、薬の効果をより高める支援など、デジタルを使うことで多くの可能性があるのです。
しかし気をつけなければいけないのが、使うのは人です。2型糖尿病であれば、普段から健康的生活をすることが苦手だった人です。そのような人に優れた機能を渡しただけでは足りないのです。なぜなら、 最終的に健康的生活をしなければいけないのは患者本人だからです。
ヒューマンコーチングの発想は、まさに健康的生活が苦手な人に寄り添う仕組みとして機能してくれるものとなってきます。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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