『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“HelloBetter、糖尿病とうつ病の治療コースが処方箋で利用可能に”
デジタル治療に特化したドイツのHelloBetter社は、ドイツの医師と患者のための償還可能なデジタルヘルスアプリケーション(DiGA)である新しいオンラインプログラムのリリースを発表した。
このデジタル治療は、抑うつ症状のある1型および2型糖尿病患者を対象とする。
HelloBetterの創設者であり、ミュンヘン工科大学の心理学およびデジタルメンタルヘルスの教授であるDavid Ebert博士によると、糖尿病患者の1/4が抑うつ症状にも悩まされているとのことだ。
この患者グループに適切かつ効率的なケアを提供するために、HelloBetterはアムステルダム、フライブルク、マールブルク、リューネブルクの大学での4年間の研究に基づいて、治療プログラムを開発した。さらに、その有効性は臨床試験によって裏付けられている。
12週間に渡って実施される『HelloBetter Diabetes and Depression』デジタルプログラムは、認知行動療法に基づいており、6つのコースユニットからなるインタラクティブなウェブアプリケーションの形で提供される。
患者は、心理士の個別サポートを受けながら、自分の症状に関する問題を解決する術や、再発を防ぐ方法を学ぶ。さらに、日記機能、気分や症状の記録などの機能を備えたモバイルアプリを使って、より効果的に治療を進めることができる。医師は、このモバイル機能を対面治療と相乗的に展開することができる。
2019年11月にデジタルケア法が成立して以来、ドイツではデジタル療法を処方して報酬を得るための法的根拠ができた。「DiGA」と呼ばれる対象プログラムは、ドイツ連邦医薬品・医療機器研究所(BfArM)による品質チェックを通過した。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2021年12月15日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回はドイツのデジタルセラピューティクス(デジタル治療薬)のニュースをお届けします。
デジタルセラピューティクスは米国に続いてドイツ、中国が先行すると言われています。ドイツは2019年11月にデジタルケア法が成立してから、多くのデジタルセラピューティクスが誕生してきました。
今までのデジタルセラピューティクスは特定の疾患に対応すること(対応する範囲はあれど)が前提とされていましたが、HelloBetterが提供する『HelloBetter Diabetes and Depression』は、糖尿病患者で抑うつ症状がある人に向けられています。まるで薬の飲み合わせのようでユニークです。
生活習慣病の多くが合併症を併発する可能性があります。何か特定の症状や疾患だけのものでなく、今回の『HelloBetter Diabetes and Depression』のように、複数の疾患に対応したデジタルセラピューティクスも今後は必要になってくるでしょう。
デジタルセラピューティクスは、まだまだスタートしたばかりです。多くの可能性を秘めた領域ですので、今後さらなる進化が期待されます。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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