『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Z世代向け音楽療法アプリ『Spoke』、Ada Ventures主導で約1.7億円のラウンドを獲得”
『Spoke』は「マインドフルネス効果」と称する音楽を生成する新しいアプリである。このアプリは、現代音楽アーティストや科学的アドバイザーとの18カ月にわたる研究開発に基づいており(臨床試験も予定されている)、主に「中高年向け」のマインドフルネスアプリやムーブメントを敬遠しがちなZ世代、もしくは25歳以下の年齢層を対象とした、マインドフルネスの要素と音楽を組み合わせたものだ。
このたび、英国を拠点とするAda Venturesが110万ポンド(約1億7,200万円)のプレシード投資を行い、英国の著名なエンジェル投資家が多数参加している。
「『Spoke』は、音楽文化とメンタルヘルスという一見相反する世界を結びつけるものです」と、Spokeの創設者で共同CEOのAriana Alexander-Sefre氏は声明で述べている。「音楽業界は、リスナーやアーティストのメンタルヘルスにすばらしい役割を果たすことができ、根本的に変わる必要があると私たちは考えています。メンタルヘルスのアプリはたくさんありますが、十分なサービスを受けられていない世代がいます。これは私たちの第一歩です。私たちの使命は、音楽がいかにパワフルであるか、そして業界がいかに進化しなければならないかを示すことです」と語る。
Spokeによると、現在Jordy、VIC、Jamilah Barryを含む25以上のアーティストと協力しているとのことだ。おわかりかもしれないが、これらのアーティストは、瞑想アプリのような快適な世界とはかけ離れた存在であることが多い。
記事原文はこちら(『TechCrunch』 2022年2月18日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
Calmをはじめ、メンタルヘルスの分野にニュージェネレーションが次々と登場してきています。今回紹介するSpokeもその一つです。
CalmやSpokeが注目されるのは、既存のメンタルヘルスのアプローチに囚われないことです。
既存のアプローチとは、科学的にメンタルを改善することを検討してきた賜物です。ただし、そのアプローチがすべての年代に向いているとは限りません。
検討してきた科学者などは当然それなりの研究をしてきているので、年代も高め(30、40代以上)になってくるでしょう。そのような年代の人が、果たして10代の気持ちに寄り添ったソリューションを提供できるか?と言えば、感覚的には難しく、10代の分析をしっかりとしないと適切なソリューションは作りだせないのではないでしょうか!?
現在メインのメンタルヘルスのソリューションは、大人世代をメインターゲットに開発されています。大人に効果があるからとすべての年代に効果的とまでは言えないでしょう。
記事の中で紹介されていますが、共同CEOのAriana Alexander-Sefre氏は何千時間にも及ぶリサーチを行い
「若者はヨガの先生や専門家のお坊さんのような人の話を聞くことには興味がないけれど、ミュージシャンのような文化的リーダーには興味があることがわかった。私が話をしたほぼすべての若者にとって、ミュージシャンが最も影響力があることがわかりました」
このようにコメントしています。メンタルヘルスに限らず、どんなビジネスでもターゲットに合わせたアプローチは必要になります。
ヘルスケアビジネスは、科学的に正しいことを押し付けてしまうケースが多く見られます。でも、行動するのは感情を持った人です。その人が自ら動くためには、一見遠回りになると思われる工夫が結果に結びつきやすくさせるのです。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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