『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“脳のヘルステック企業LinusHealth、身体機能評価のスタートアップKinesisHealthを買収”
脳のヘルステックLinusHealth社は、身体機能の評価に焦点を当てたアイルランドのスタートアップであるKinesisHealthTechnologies社を買収したと発表した。
A University College Dublinから独立して企業となったKinesisHealthTechnologiesは、歩行、バランス、移動能力、転倒リスク、フレイルなどをデジタル評価することに注力している。
一方、ボストンに拠点を置くLinusHealthは、臨床医が認知機能や脳の障害を評価するためのデジタルツールを提供する企業だ。同社ウェブページによると、同社の評価ツールは、研究現場、高齢者の生活、医療ケアなど、さまざま場面で利用可能とのことだ。
LinusHealthは、今回の企業買収によって同社のサービス分野は、身体機能と認知機能の両方の評価を含むものへと拡大することになると述べ、身体機能と認知機能には往々にして関連があることに触れた。
「人の脳の健康状態について明らかにできることが多ければ多いほど、何等かの異常が起きた場合のサービス提供者の介入をより迅速化することが可能だ」とLinusHealthのDavid Bates, CEOは発表で述べた。「KinesisHealthTechnologiesの買収により当社は、歩行、バランス、移動という重要な分野での進歩を加速し、それに関する見識を蓄積して患者の健康状態とその関連リスクへの理解を深め、当社が推奨する臨床指導やケアプランにそれらを活用することが可能になる。KinesisHealthTechnologiesのメンバーと協力して我々の一体化した影響力を高めていくことを楽しみにしている」
米国疾病予防管理センターによると、米国では1,600万人以上が認知機能障害を抱えている。高齢化が進むに連れてこの数は増加すると見込まれる。
LinusHealthは、ここしばらく脳の健康に注力してきたが、新たな今回の買収で、一気に身体機能分野に参入することになる。Neuroepidemiology誌に掲載されたある研究によると、身体機能が認知症に関連をもつ可能性があるという。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2022年3月30日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
日本に比べればまだ少ない比率だとは言え、米国での高齢者の増加に伴い、認知症を発症する人が増えていることは深刻な問題として捉えています。その課題に取り組んでいる企業がLinusHealthです。
今回LinusHealthに注目したのが、次のアクションに進みだしたことです。脳の状態と身体機能を結びつけて予防に活かしたいと考えています。
可能性はあるも、まだ証明されていない領域でのチャレンジですので、ぜひ実らせて欲しいと期待しています。
証明された後は、ビジネスとしても成立させていかなければなりません。
何らかの異常の兆候がわかり、知らせることができることで介護者の負担は減るかもしれません。これにより、例えば、事故が減り、医療費削減にはつながるかもしれません。その場合は保険支払いが減るので、保険会社がサービスの費用負担をするのかもしれません。
この場合、事故を未然に防ぐことでの医療費削減を、さらに証明しないとならないでしょう。
新たなことへのチャレンジは、それなりに道のりも長くなります。長期的な支援がないと想いだけでは達成できません。
ゴールが何になるのか、やっている中でも動いていくと思いますので、支援者と常に意識を共有しながら進めていける関係が大切になるでしょう。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、本質的健康経営の社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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