『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“「AIツールの受け入れやすさ」で診断率に差”
医療AIツールの有効性は「現場の医療者がそのAIを受け入れるかどうか」にかかっている。米Mayo Clinicの研究チームは、「AIツールの提案を採用しやすい医師」と「採用を躊躇する医師」とを比較し、心不全の診断率に2倍の差が生まれることを示した。
研究チームによると、高採用者には「複雑な健康問題を抱える患者への対応経験」が少ない傾向があると考察している。著者でMayo ClinicのDavid Rushlow医師は「学術的専門性の高い施設において開発される傾向のある医療AIだが、その利点を最大化するためには、複雑な患者を扱った経験の少ないプライマリーケアの現場との間で、より多くのコラボレーションを持つことも重要だ」と語っている。
記事原文はこちら(『The Medical AI Times』2022年11月4日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
ヘルスケア領域におけるAI活用はかなり浸透してきています。医療現場での誤診を防いだり、診療の効率化に貢献するなど、少子高齢化により、ますます医療従事者も足りなくなっていくことを考えると、なくてはならない存在になってきました。
ただし、導入されれば簡単に受け入れられるとばかりは言えません。
今回の記事のように、すでに医療現場でAI活用シーンを見ているであろう、医師であっても、あえてAIを使わない人もいるのです。特に経験豊富な医師の方が使っていない傾向があるとのこと。
人はAIに限らず新しいものに対しては、「期待半分、不安半分」なところがあるものです。
ましてや命を預かる医療現場では、不安を感じるものを使わないのは当然の結果とも言えます。経験がある人ほど、その傾向は強まるのではないでしょうか!?
医療従事者が使うAIは、所属する病院が導入しているものなので「使うか、使わないか」の判断になりますが、これがコンシューマ向けで考えた場合、「お金を払ってまで使うか?」と、利用するためにはもう1つ大きな壁がそそり立つことになります。
「新しく素晴らしいものだから受け入れられる」といったプロダクトアウト的な発想は、実はセンシティブなテーマを扱うヘルスケアには馴染みにくいのではないかと思っています。
ただし、新しく斬新なものがすべてダメと言っているわけではありません。ヘルスケア特有の不安要素を取り除くアプローチもセットで行う必要があると思うのです。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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