『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Oneleaf 、オーディオプログラムがガイドする自己催眠アプリ”
催眠療法を主流にしようとする新しいスタートアップOneleaf社は、禁煙や不安の軽減、ダイエットのためのさまざまなプログラムを支援するアプリをデザインした。
Oneleafは、Frst、Kima Ventures、Raise Ventures、および複数のビジネスエンジェルから460万ドル(420万ユーロ)を調達した。Bpifranceも無資本融資で数十万ドルを上乗せして貢献した。
「いかにしてタバコをやめるかは、私にとって本当に重要なテーマでした。私は全く新しい世界を発見しました、それは催眠術です。そして、デジタル体験は物理的なものよりも優れています。催眠はリラックスと集中が同時に得られる状態です」と創業者兼CEOのEliott Cohen-Skalli氏は述べた。
Cohen-Skalli氏によれば、自宅で自己催眠を実践しやすいのは、穏やかで慣れ親しんだ環境にいるためだ。誰かのオフィスで、見知らぬ人と隣り合わせになるわけではない。
催眠術業界でアプリが好成績を上げるかもしれない理由として、現実の催眠術のセッションは、特にアメリカではかなり高額になるためだ。
Oneleafは、喫煙、体重管理、睡眠不足などに役立つ21日間プログラムを作成した。催眠術のプロであるLaurent Taton氏や、社会・行動科学者のEmily Balcetis氏、Judith Prochaska氏と共同で開発したものだ。
Oneleafは、これらのセッションを録音し、BGMとしてバイノーラル・ビートを追加した。その結果、スマートフォンからいつでも好きなときに始められる音声のみの体験ができるようになった。各セッションは20〜30分となる。
瞑想やフィットネスのアプリのように、Oneleafは購読料収入を想定している。ユーザーは68ドルを支払うことで、Oneleafのコンテンツ・ライブラリーにアクセスすることができる。また、アプリ内課金で特定のプログラムをアンロックすることも可能となる。
記事原文はこちら(『TechCrunch』2023年1月25日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
今回は「催眠術」を活用したデジタルヘルスサービスのご紹介です。
「催眠術」と言われると怪しい空気になってきそうですので「催眠療法」としておきましょう。
日本国内で催眠療法はメジャーなものではないので、色物的に見えるかもしれませんが、米国では大手医療施設でも活用されています。
禁煙プログラムでは、薬物療法と催眠療法を比較した実証実験も行われており、睡眠療法の方がよい成果を出したとの論文が発表されていたりします。
薬物療法より催眠療法の方が優れているなら、すべて催眠療法にすればよいのではないか!? と思われるかもしれませんが、催眠を行うには専門職が必要になるため、処方薬に比べコストや普及も課題になります。
今回紹介するOneleafの取り組みは、デジタルヘルスに置き換えることで、人的コストを削減し、より多くの対象者に提供しようとするものです。
本来人が行うことをシステムに置き換えるわけですから、簡単に同様の効果を得るのは難しいかもしれません。しかし、価値あるチャレンジではないでしょうか!?
仮にデジタルヘルスによってコストを抑えてより効果を出せたとしましょう。次なる問題は「文化の壁」です。
どんなに優れていても、怪しいと思われたら普及はありません。特に日本ではメンタルヘルスに瞑想を取り入れると、いまだに色物的に見られることがあります。そんな状況で催眠術なんて言おうものなら、反応も予測できそうですね。
ヘルスケアビジネスを提供する立場に立つと、まずは取り組み自体を正当に評価すること。ここから始めていくことではないでしょうか。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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