『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“調査: 消費者の80%がテレヘルスを利用したことがある”
Rock Healthの「2022年版デジタルヘルス消費者普及調査(Digital Health Consumer Adoption Survey)」によると、全回答者の80%がこれまでにテレヘルス(遠隔医療)を利用したことがあり、現在は処方箋の受け取りや軽症の治療のための望ましい手段となっていることがわかった。
この調査は、米国の成人8,014人にデジタルヘルスに関する経験について尋ねたものだ。過去1年以内では、音声のみおよび非同期のテレヘルスが最も多く利用されたことが明らかになっている。
ウェアラブルデバイスの普及率も上昇したが、こうしたデバイスの臨床利用は、消費者に直接提供される(D2C)までの水準には至っていない。また、デジタルヘルスアプリやウェブサイト、ヘルステクノロジー企業とのデータ共有に対する消費者の意欲は、医師や臨床医に対する信頼と比較するとまだ低い。
2022年はこれまで十分な医療サービスを受けられなかったグループにおけるテレヘルスの利用率が高まった。ヒスパニック系消費者のテレヘルス利用率は82%に達しており、2021年から9ポイント上昇し、調査対象となったすべての人種・民族グループの中で最も顕著な伸びを示した。
前年比で最も増加したのは、2021年の64%から76%に増加した55歳以上の回答者、60%から73%に増加した地方在住者、37%から50%に増加した健康保険未加入者だ。
ビデオ・テレヘルスの利用率は2021年からやや横ばいだったが、他のすべてのテレヘルス手段において利用率の増加が見られた。音声通話は12ポイント増の57%、健康アプリやウェブサイト経由のテレヘルスは11ポイント増の48%、メール・テレヘルスは9ポイント増の43%、テキストメッセージは8ポイント増の36%となった。
本調査の執筆者らは、ウェアラブル端末の使用率は横ばいであったが、高齢者、低所得者、低学歴者のウェアラブル端末所有率は2021年の18%から上昇し、21%と過去最高となったことを指摘している。
しかし、健康状態が悪いと答えた回答者よりも健康な回答者の方がウェアラブル端末を所有する傾向があり、「疾病管理を改善したり、疾病の進行を監視するウェアラブル端末を個人に行き届かせたりするためには、さらに多くを行う(必要がある)」とした。
健康情報の入手先については、デジタルヘルスアプリ(28%)、ウェブサイト(16%)、ヘルステクノロジー企業(15%)、ソーシャルメディアグループ(11%)と比較して、77%の回答者が医師や臨床医を信頼していると回答した。
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2023年2月28日掲載)
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『mHealth Watch』の視点!
以前紹介したヘルスケアテクノロジーズの調査によると、「国内のオンライン診療の認知は88.9%もあるが、オンライン診療を実際に使ったことがあるのは8%に留まる」とのことでした。
今回紹介した米国のテレヘルスの実態レポートはいかがでしょうか?日本で考えるととてつもなく高い数字だと思いませんか?
米国は日本と違い、新型コロナにより一時ロックダウンをしていましたので、強制的にテレヘルスを体験することができました。
日本の場合はテレヘルスが使えるようにはなりましたが、(制限はあれど)通院も可能ではありましたので、強制的に使うまではいかず、認知はされても利用にはつながりませんでした。
ただ、過疎地を中心に医療不足は深刻ですので、今後もテレヘルスが日本では広がらないということはないでしょう。
今後のテレヘルス普及のために参考にしたいのが先行する米国の動向です。
ビデオ・テレヘルス(顔が見えるテレビ電話の状態)の利用率は横ばいなのに対し、音声、メール、アプリでのコミュニケーションなどの利用率が上がっています。
これはスマートフォンの普段使いが影響していると考えられます。オンライン会議でもない限り、頻繁に顔を見ながら会話するような使い方をする人がどれだけいるでしょうか?より手軽な音声のみ、文字情報のみの方が抵抗がない人も多くいます。
もちろん、診断においては症状を目で確認するなど必要な場面は多々ありますので、使い勝手のためだけに動画機能はいらないとはならないでしょう。
日本における今後のテレヘルス普及のためには、機能的な点だけで考えるのではなく、あらゆる面で抵抗感をなくしていくステップを作っていく必要があるのではないかと思えます。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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