『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Peloton、 B2Bサービスへの新しいアプローチを開始”
ニューヨークを拠点とするPelotonは、企業ウェルネス、集合住宅、ホスピタリティ、コミュニティウェルネス、ヘルスケア、教育、ジムなどの分野の顧客に機器とコンテンツを提供する新しいB2Bサービスである『Peloton for Business』の開始を発表した。
同社は、ユーザー数無制限で利用できる「Peloton Bike」へのアクセス、パートナーブランドのオーディエンスに限定プログラムやオファーを提供するパートナーシップサービス、アプリや機器、企業エンゲージメント体験へのアクセスを提供する従業員福利厚生プログラムを提供する。
また、B2Bサービスを統括する新たなリーダー職を設け、GregHybl氏を『Peloton for Business』の上級副社長兼ジェネラルマネージャーに任命したことも発表した。Hybl氏は以前、アメリカンエキスプレスで戦略パートナーシップのチームを率いていた。
「 PelotonのB2B戦略の発展において、このような重要な時期に加わることになり、わくわくしています。私たちのゴールは、企業の規模に関係なく、それぞれのクライアントのユニークなニーズに対してカスタマイズ可能なオプションを提供するソリューション志向のパートナーになることです」と Hybl氏は述べた。
「全体的かつ個別的なソリューションを提供することで、現在サービスを提供している大企業に加え、中小企業にも顧客基盤を広げることができます。既存の企業顧客との勢いを継続し、あらゆるレベルの顧客と従業員にPelotonの価値を提供できるようになることは、これ以上ない喜びです」
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2023年8月17日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
Pelotonは、自宅でスピニングバイク(バイクエクササイズ)を、まるでフィットネススタジオにいるような体験ができることが評価され、ホームフィットネスのトップランナーとして拡大してきました。
特に新型コロナによるロックダウンが追い風となり、2020、2021年は急成長を遂げました。
しかし新型コロナも落ち着いたことで、米国では在宅向け商材の需要が減少し、売上が落ち込み、また販売していたバイクによる事故が発生するなど、悪いニュースが重なっていました。
Pelotonは、この状況を打開するため、B2B市場への本格参入となったことが伺えます。
ヘルスケアビジネスにおいてB2CからB2Bへの展開は、「諸刃の剣」となりかねないので注意が必要です。
B2Bという新たな市場を開拓できれば、大きな収益につながる可能性はありますが、市場特性を捉えられないと大きな損失にもなります。
B2CとB2Bの一番の違いは価格感です。
例えばB2C向けには2万円で売っていたウェアラブルでも、B2Bでは同程度の機能であれば5,000円程度が市場価格となる場合があります。
B2Bの買い手からすれば、大量購入するからディスカウントして欲しいと思われることがあります。
またユーザー意識にも違いがあります。
B2Cでは健康課題を解決したいユーザーが自分で購入しますので、買ったからには使おうとの意識も働きやすいのですが、B2Bの場合、利用者は自らお金を払っていない場合も多いので、そこまで思い入れも、絶対にこれを使って課題解決しようとまで思う人ばかりではない(むしろ少ない)のが実態です。
B2C以上に継続利用させる仕組みが必要となります。
他にもいくつかポイントはありますが、このような市場特性の違いを踏まえた展開ができるかで、効果としてプラスにもマイナスにも働く可能性がありますので、しっかりとした戦略を立てて挑むことが望ましいと言えます。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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