『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“Lenovo、認知症患者と会話できるフォトリアリスティックな3Dアバターを発表”
大手テック企業のLenovoとInnovations in Dementia社は共同で、『Alzheimer’s Intelligence(アルツハイマー病患者の知性)』と名付けられた概念実証プロジェクトで実現したアバターの発表を行った。これは、認知症の人と会話ができる、フォトリアリスティックなAI対応3Dアバターで、このプロジェクトでは、実際に認知症やアルツハイマー病を患う何百人もの人々から集めたアドバイスを厳選して使用している。
Lenovoのテクノロジーにより、何百人もの人々から集めた体験談とアドバイスを3Dアバターに集約することで、このアバターは、認知症患者と台本なしで、自然な会話をリアルタイムで行うことができる。また、認知症患者の会話を支援するためにも使用できる。
AIアバターは、アルツハイマー病・認知症の患者10人の画像を組み合わせて開発された。その後、AIを使用することで、この10人から着想を得てアバターの顔を作り、数千もの表情や角度を持たせることが可能となった。
顔を融合して作られたアバターは「リブ」と名付けられた。また、リブを作る際は、患者から直接得たデータやInnovations in Dementiaの「Dementia Diaries(認知症ダイアリー)」プロジェクトの参加者、パネルインタビューに基づく単体のデータセットを作成して使用した。
ユーザーがリブに質問すると、LLMはデータセットを照会し、このプロジェクト用に作成されたボーカルシンセサイザーを使用して、リブ用に作られたペルソナ言語で回答する。
同社は次のように説明している。「返答の根底にある感情を分析するために“感情分析”が使用され、それは、AIが話す際の表情に反映されます。最終的には、リアルタイムで4KビジュアルAIを使用して、ボーカルシンセサイザーによって生成された音声をリアルタイムで話しているように聞かせます」
記事原文はこちら(『mobihealthnews』2024年10月18日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
認知症患者との会話は、思ったようにこちらの意図が伝わらなかったり、何度も繰り返さなければならないといったことが発生します。
それは認知症患者本人も同じで、自身の言葉でうまく表現できないことで大声を出したり、興奮してしまうこともあります。
このようなことが積み重なることで、介護する側にも大きなストレスとなり、悲しい結果につながってしまうことがあります。
今回、LenovoとInnovations in Dementiaが研究を続けている3Dアバタープロジェクト『Alzheimer’s Intelligence』は、認知症患者と適切な会話をしてくれるというものです。適切なアドバイスを厳選して使ってくれるようです。
この3Dアバターは、認知症患者と会話することを前提に設計しているので、認知症患者本人も同じで、自身の言葉でうまく表現できないことで大声を出したり、興奮してしまった場合の対応も念頭に置かれているものと思われます。
認知症患者が少しでもストレスを感じず日々過ごしていくことに役立ち、介護者のストレスも低減するなら、とてもありがたいものと言えます。
ヘルスケアにおけるアバター活用の研究は進んでいますが、認知症患者とのコミュニケーションは難易度の高いものとなります。これが実用できれば、世界中から受け入れられるものとなるでしょう。
この3Dアバターは、介護者が不足する高齢社会において不可欠なものとなります。今後の開発の進捗に期待したいと思います。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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