『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“CES2025:脳のマッサージ機や針なし注射、CESで見つけた“これから来る”技術まとめ”
FaceHeart、AI内蔵ミラー『FaceHeart CardioMirror』
台湾から出展のFaceHeart社による世界初をうたうAI内蔵ミラー『FaceHeart CardioMirror』は、一見すると照明付きの鏡なのだが、内蔵したカメラやセンサーで鏡に映った人物の健康状態を測定する機能を持つ。
具体的には、心拍数、血中酸素飽和度、血圧、鏡に映った時点での健康状態の良し悪しなどを表示してくれ、また、記録してくれる。使い方も、鏡の前に座るだけとかんたん。デモでは、分析も数十秒で済んでいた。
NEUROSONA、「脳のマッサージ機」
韓国から出展のNEUROSONA社は、脳疾患の治療技術をコアとして、脳に関するケアプロダクトの開発進めている企業。
同社によるLIFU(低強度集束超音波)と呼ばれる特殊なパルスは、脳の特定領域の神経細胞に刺激を与え、活動を調節することができるという。
パルスを用いた脳の治療器としては「経頭蓋超音波刺激技術」と呼ばれる技術が、現在うつ病など特定の疾患を対象として使われているが、LIFUは経頭蓋超音波刺激技術と比べても熱エネルギーが対象領域に集中しにくく、神経を損傷させない安全な治療が可能とのことだ。
Flowbeams、針を使わない注射技術『BoldJet』
オランダにはのトウェンテ大学発スタートアップのFlowbeamsは、針を使わずにワクチン接種を可能にする技術『BoldJet』を展示。
小さな噴出口から、液体をジェット噴射することで、薬品や美容製品を皮膚の奥に押し込むというもの。ワクチンやインスリンの接種のほか、美容目的の注射の代替として使われることも想定されている。
痛みが少なく、針と比較して侵襲性が極めて低く、また、基礎的な研修を受けるだけで扱えるようになるなど、そのメリットは大きい。「注射が苦手」という方にとっては、一刻も早く実用化されてほしい技術ではないだろうか。
記事原文はこちら(『ASCII』2025年1月10日掲載)
※記事公開から日数が経過した原文へのリンクは、正常に遷移しない場合があります。ご了承ください。
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『mHealth Watch』の視点!
毎年1月にラスベガスで開催されるCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)では、毎回多くのヘルスケアに関する最新テクノロジーが紹介される場となっています。
mHealth Watchでは、多くのメディアで掲載されたCES2025に関するヘルスケア関連ニュースをピックアップしていますのでチェックしてみてください。
私も10年以上前からCESで紹介されるヘルスケア関連の動向をみていますが、毎回今までにないテクノロジーが誕生し、飽きることがありません。
ただし、その新しいテクノロジーが、翌年には大きなビジネスなったと言うような話は聞くことがありません。
なぜなら、例えば今回紹介したAI内蔵ミラー『FaceHeart CardioMirror』では、鏡の前に座っただけで計測ができるという、とても便利なものではありますが、心拍や血圧を測っただけでは健康課題改善にはなりません。
また、そのデータから改善策が提示されても、ユーザーが提示された健康策を適切に実行しなければ改善することはありません。この適切に行動が続けられないことに大きな課題があります。
ユーザーは健康課題を解決したいから高額な製品を買うわけですが、改善のために努力するのはユーザー本人である以上、ユーザーの粘り強い“やる気”に頼ることになると、本当の意味でユーザーが製品に求めたものとは違うことになり、その製品の需要拡大に繋がりにくくなってしまうのです。(『FaceHeart CardioMirror』がダメだとは言ってませんので。念のため)
CESで製品をチェックするときは視点を変えていただきたいです。その最新テクノロジーを活かすことで、ユーザーの課題解決となるビジネスモデルを考えてみて欲しいのです。
そこで可能性あるビジネスモデルが思いついたなら、ぜひ出品者に連絡してください。できるかどうかわからない新たなテクノロジーをゼロから開発するよりも、ビジネスとして成立する可能性が出てきます。
最新テクノロジーからビジネスを考える。やってみると面白い気付きがあります。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツにて健康ビジネスにおけるマーケティングに関するコンサルティング、一般社団法人 社会的健康戦略研究所の理事として、ウェルビーイングの社会実装方法の研究を行う。またウェアラブル機器、健康ビジネスモデルに関する健康メディアでの発表や、ヘルスケアITなどで講演を行う。
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