『mHealth Watch』では、ここ最近で公開されたニュースから「注目ニュース」をピックアップし、独自の視点で解説していきます。
今回注目したニュースはこちら!
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“ドコモ・イノベーションビレッジ、『ウンログ』が審査員賞を受賞”
NTTドコモ・ベンチャーズは11月12日、インキュベーションプログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」の第3期DemoDayを開催した。
ドコモ・イノベーションビレッジでは、ドコモのグループ社員や起業家、ベンチャーキャピタル(VC)といった社外メンターによるメンタリング、転換社債引受による500万円の資金提供などを通じた起業支援プログラムを展開している。第3期は6月からプログラムを開始し、開発のブラッシュアップを行う「ビレッジ・ブートキャンプ」と「ビレッジ・プログラム」という2段階のステップで約4カ月半のプログラムが実施された。
選考に通過し、約4カ月半のプログラムを経験したのは4チーム。
イベントでは、ドコモ・イノベーションビレッジのメンターを中心とした審査員とオーディエンスによる投票によって賞が選ばれた。審査員・オーディエンス賞を受賞したのは、『ウンログ』を提供するウンログだ。
『ウンログ』は、うんちで健康を管理するアプリだ。うんちの色や形、大きさ、匂い、お腹の張りを記録し、それらの状態から健康度合いをスコアとして表示。食事記録アプリとの併用で、うんちと健康との関係を把握できる。すでに20万ユーザーを抱え、アクティブユーザーは4万人を超えているという。
今後は、アプリの認知向上のために、ウェブメディアや他社アプリとの相互集客を図るほか、赤ちゃんやペットなど家族利用のための新アプリも開発し、幼稚園や保育園、病院や介護施設などの法人利用の推進を図る。さらに、健康情報プラットフォームビジネスへの展開も考えており、2015年には健康食品のECサイトやオンライン健康相談窓口を開設。2016年には腸内細菌DNA解析サービスの提供も予定している。さらに、ビックデータ解析による健康データサービスへの展開も視野に入れている。
記事原稿はこちら(『CNET Japan』11月13日掲載)
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『mHealth Watch』の視点
国内でもスタートアップへのサポートが活発化してきています。そのひとつが「ドコモ・イノベーションビレッジ」です。ITを活用した取り組みが主流ですが、そのなかでもヘルスケアをテーマにしたプロジェクトには注目が集まっています。
しかし、デバイスやアプリで計測するものは、歩数、体重、睡眠など、同じような内容が多い傾向にあります。この頃は心拍を常時計測するデバイスが流行りで、リストバンドタイプにはほぼ装備されるようになり、差別化は増々難しくなっているような印象を受けます。
そんななか、「うんち」を観察して健康をはかる『ウンログ』が第3期となる「ドコモ・イノベーションビレッジ」で審査員賞を受賞しました。なぜ『ウンログ』が注目を集めるのでしょうか?
1番はテーマ設定でしょう。誰もが大便の際、どのような「うんち」だったかを自然にチェックして、お腹の調子を判断しているのではないでしょうか? それでいて、人に見られるのは嫌(恥ずかしい)なものでもあります。話題にはし難いけど、その実、興味が尽きないのが「うんち」なのです。
もうひとつは計測方法にあります。カメラで撮影して判定するといったテクノロジーではなく、自分で色や形、匂いでチェックします。カメラの精度や環境に左右されて、うまく計測できないことが起きないのは、利用者にストレスを与えにくくしてくれます。また、自分でチェックといっても、イラストなどから直観的に選ぶだけの手軽さが無理なく続けやすくしてくれています。
「うんち」を取り扱っているからとイロモノ的に見るのではなく、『ウンログ』のテーマ設定、見せ方のポイントをしっかりとチェックし、自社のサービスと比べてみてはいかがでしょうか。
『mHeath Watch』編集 渡辺 武友
株式会社スポルツのクリエイティブディレクターとして、健康系プロダクト、アプリ、映像などの企画・制作ディレクションを手掛ける。「Health App Lab(ヘルスアプリ研究所)」所長として健康・医療アプリの研究発表を行う。またウェアラブル機器の研究を行ない、健康ビジネスメディア「ヘルスビズウォッチ」を中心に海外のトレンド情報などを発表している。
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